国際結婚は仕事観にどのように関係したのか? 国際結婚と日本語教育についてインタビュー:仕事観、日本語教育について Part2

Xin chào các bạn(こんにちは みなさん)!Sun*教育事業部の三浦です。今回もご覧いただき、ありがとうございます!今回は「日本人日本語教師にとって国際結婚とは? Part2」と題して、前回から引き続きSun*教育事業部GEUに所属する国際結婚をしている先生に『日本語教師が国際結婚するこということ』について対談形式でお送りいたします。今回は宮地先生にお話をお聞きしました!日本語教師のパートナーが他国人の場合、日本語の教え方や人生にどのような影響があるのでしょうか?とても興味深い内容になりました。ぜひ最後までお読みください!

UETのエントランスにて

日本人日本語教師にとって国際結婚とは? Part1の濱嵜先生の記事はこちらです!

取材をした宮地先生について

宮地先生は日本で日本語を教えている時からベトナム人の学生が多かった事から、独学でベトナム語学習を開始。ベトナムでは2018年12月から日本語教師をしています。奥様とは2019年夏に知り合い、12月には入籍しました。奥様との会話は全てベトナム語です。Sun*では2023年9月から勤務していて、UET(ベトナム国家大学ハノイ校)で日本語を教えています。

ベトナム国家大学ハノイ校については以下の記事をお読みください!
素材の良さには自信あり。 ―各地の英才、ここに結集! ベトナム国家大学ハノイ校

素敵な結婚写真・仲睦まじい家族

奥様ととても仲が良い宮地先生は温かく素敵な家族写真や記念写真が多いです!

ホアンキエム湖の玉山祠で撮った写真
珍しいベトナムの紅葉をバックに記念写真
宮地先生の奥様が日本へ遊びに来た時の写真

対談形式によるインタビュー開始です!

国際結婚は仕事観にどのように関係したのか?

結婚式にて
三浦

【質問】大きく捉えて、国際結婚の経験などでベトナムで日本語教育をしている中で生かされている事があれば教えてください。

宮地

当たり前ですが、生活をしている中でお互いの慣習の違いで何かこちらが気に入らないことがあっても、事情を察して一人の人間として尊重しなきゃいけないという気づきを得ました。このことは学生や同僚も一人の人間で、思い込みや決めつけをしないで接しなければならない、と意識するきっかけになっています。また、子供が生まれたので、学生を見るとこの子らも、誰かの子供なんだなと思うと大事に思うようになりました。

三浦

【質問】結婚後、教育活動において特に心に残るエピソードや成功体験は何ですか?

宮地

年配の学習者と家族の話になることが多いのですが、その時は「教師と学習者」ではなく「人と人」の会話になっているな、と思います。xseedsでは基本若い学生ばかりなんですけど、時々別の機会で年配の日本語学習者と話す機会があって、そういうときはその時は「教師と学習者」ではなく「人と人」の会話になっているな、と思います。

学生とか同僚以外とか、タクシーの運転手、市場のおばちゃんでも、ベトナム人の年配の方々とちょっと会話が始まると絶対家族の話、子供の話になるのです。

年配者の日本語学習者との会話のトピックとして、子供の話をするということはベトナム社会に一歩踏み込んだ感じがあります。心の交流が出来ているなっていう実感が湧いてくる感じです。

私は今2人子供がいるんですが、自己紹介で何かテンプレートな言い方じゃなくて、本当に家族を紹介、子供を紹介しているっていう実感があります。

三浦

【質問】結婚を通じて、新たな日本語教育のアプローチや視点が得られたことはありますか?

宮地

結婚によって劇的に変わったことは思いつきませんでした。結婚前から自分の日本語教育をどう改善していくかということは常に意識にあったからです。ただ、一番身近に話を聞いてくれる人がいる、という安心を得ることができました。

日本にいる時から日本語教育について、自分の教え方をどう改善していくか、どんな新しい知見があるかという事は常に気にしていました。ただやはり何か問題があっても1人で抱え込まないで、うちに帰ったら相談に乗ってくれたり、話を聞いてくれる妻がいることが心の支えにもなり、ベトナム人に日本語を教える場合にも安心を得ることが出来ました。

こんなこともありました。学生に教えても全然話せるようにならない、練習してくださいと言っても、私が書いたスクリプトを暗記してるだけで、どうしようかなと妻にちょっと愚痴っぽく話したら、『でも最初は別にいいじゃない?日本語の会話を暗記して話してるんだから』と言われました。そんな気楽に考えて大丈夫か?みたいな、ちょっとフワッとした話ですけど、私は今まで学んだ文法を使って自分の気持ちを言って欲しいという所まで求めがちでした。しかしこれ以降覚えただけでもOKという、そう思うようになりました。私が教師として、学生に自分の思い通りにやって欲しいと思っていたのを、多分妻は同じベトナム人として気が付いたんですね。教師が満足することではなく学生が何ができるようになってるかという事が学ぶ人間の立場からすればやっぱり大事ですね。

三浦

素晴らしい奥様ですね。
【質問】異文化間の結婚が宮地先生の人生観やキャリアに与えた影響を教えていただけますか?

宮地

妻は日本語を話さない生粋のベトナム人なので、家庭内の言語を日本語に統一することが出来ません。なので一家族二文化でやっていくのだという決意しました。そうするとずっとベトナムで働くのだという覚悟が生まれました。家族が最優先事項になったことで、それを守るために仕事の質を上げ健康を維持しなければならないと改めて思いました。

三浦

【質問】教育者として、異なる文化圏出身者との結婚経験から得られた思考が、宮地先生の指導法にどのような影響を与えていますか?

宮地

自分は教室で教えているときに学生が自分の思い通りに行動してくれたらうれしい、と考えていたかもしれないな、という自省が生まれました。異文化結婚なので自分の意思を正確に伝えるためには日本人同士の場合より注意を払わねばならないのと同様、学習者相手にも雑な対応をしてはいけないな、と思いました。

妻が外国人かどうかは関係なく、結婚したことで家族になるわけですから、一方的なコミュニケーションで終わりにできませんよね。学生に対しても何か自分が出した予定を全部こなしてくれたらうれしいというのがあって、ちょっと自問する機会になりました。

三浦

宮地先生のようにベトナム人の奥様とベトナム人学生の2方面で交流していると、学生のバックグラウンドが理解しやすそうですね。

【質問】日本語教育者としての視点から、異文化間の結婚経験がもたらした新たな教育へのアプローチについて教えていただけますか?

宮地

よく言われる会話力というものは、将来渡日する学生の立場から見ると何なんだろうと考えてみると、コンフリクトを解決できる能力という一面があると思いました。国際結婚の家庭はある意味、小さなコンフリクトが常に発生する環境だと言えます。自分の要求が通ることだけを目的としたコミュニケーションでは破綻してしまいます。

まだ教育の場で実践できてはいないのですが、依頼や命令などの目的を達成するだけではなく、思い通りにいかないときや相手に譲ってあげるときなどのコミュニケーション方法も学べるような教育をしていきたいです。

三浦

【質問】国際結婚がxseedsで日本語教育をしている中で生かされている事があれば教えてください。

宮地

例えば学生の故郷を聞いた場合でも、あぁそうですかという反応からは何も生まれませんが、「〇〇があるところですね」のような返答があると学生の反応も変わります。

それに、「変だから直しなさい」ではなく「日本の場合はこうです」というアプローチを取れるようになってきました。

家族への関わり方はどう変化したのか?

次女が生まれた時の写真。病院にて
三浦

【質問】結婚後、家庭内での言語や文化のバランスをとるために工夫したことはありますか?

宮地

些細なことでもベトナム語で伝えたいと思ったことは曖昧にしないで、会話を完遂するようにしています。ベッドの縁の部分とか、調味料が容器から漏れ出しているところとか、何といえばいいのかパっと出てこないところが多いですが、そういうものから逃げないということです。また、私と妻はベトナム語、子どもと妻もベトナム語で会話しているのですが、私が子供と話すときは日本語が多くなるようにしています。
妻とは100%ベトナム語で会話していますので、はずみで長女にもベトナム語で話しかけてしまうことが多いので、意識して気をつけています。長女は日本語も身に着けてきているのですがベトナム語のほうが発達しているので、とっさの指示などベトナム語を使ってしまうことが多いです。私との会話と、幼稚園では日本語を使いますが、母親・お手伝いさん・マンションの守衛やバスの運転手など毎日顔を合わせる人などはベトナム語で長女と話す上に、両親の会話がベトナム語ですから、放って置くとどうしてもベトナム語が優勢になってしまいます。
簡単ではありませんが日本語とベトナム語のバランスを取って、将来両方話せるようになって欲しいです。

三浦

【質問】異文化間の結婚における挑戦的な局面や困難を乗り越えるために大切だと考える要因は何ですか

宮地

1から100まで話し合いです。それに付随して、アドバイザーとなってくれるような信頼できる存在がどれだけまわりにいるか、というのも重要です。夫婦間の問題が夫婦だけで解決できない、話し合いを尽くしたけど解決できなくなった場合は、相談出来る相手がやはり必要です。

三浦

【質問】結婚後の生活で得た、日常の中に隠れた異文化間交流についての面白いエピソードや気づきがありますか?

宮地

家の中に神棚を設置することになりました。ひと月に2回、果物を準備して線香をあげなければならず、テト前後や中秋節など特別な日には用意するものも変わったりして面倒なのですが、面倒だけどそういうもの、という認識になっています。最も、妻がベトナム人であることをことさら意識するようなことはほとんどありません。

三浦

【質問】結婚後に、お互いの文化について違った視点や理解が得られたことについて教えていただけますか?

宮地

ベトナムの習慣は日本とそこまでかけ離れていないので、自分が慣れない習慣に面しても戸惑うことはあまりありません。

たまに衝突が起こる際も、私が日本人で妻がベトナム人だから発生した問題、というものは意外なくらい少なくて、基本的には妻と言う人間と私と言う人間の考え方や習慣の違い(特に私のルーズな性格)に起因している場合がほとんどです。

私が異文化を受け入れているというより、妻が受け入れてくれている、という印象です。

三浦

【質問】結婚後、異なる文化での生活経験が持つ豊かさや貴重さについて、宮地先生の考えを教えていただけますか?

宮地

子どもがアイデンティティ喪失に至らないように、ということだけは注意していきたいです。ただ、単純な算数で一家庭二文化だと体験できる文化が多いので得だと思っています。単純に日本の習慣とベトナムの習慣が両方ありますので、体験できる文化が多くなっているんですよ。例えば、テトにはアオザイを着せますし、日本の正月にはモチやおしるこを食べています。
今は次女が小さくあまり移動できる状況にないのですが、子供が少し大きくなれば日本旅行にも連れて行ってやりたいです。

コミュニティへの関わり方はどう変化したのか?

宮地先生の母と奥様
三浦

【質問】ベトナムの方とコミュニケーションをする際に大事にしていることは何ですか?他の日本人とベトナム人に言いたいことが何かあればこの機会に言ってください。どうぞ!

宮地

やはりベトナム語で話したほうがいいということだと思います。

ベトナム語を話すとこちらの発言などを値踏みされる立場に素早く変わるので心理的な負担はあるのですが、ベトナムと関わりたいと考えると避けて通れません。結婚前は初対面のベトナム人との世間話で、家族についての会話になると『結婚していません』で終わったんですが、今は『結婚しています。相手はベトナムの方です。はい、後ろの人です。子供は2人です。女の子です。』と、ベトナムの世間話に広がりが生まれました。そうして私はベトナムのコミュ二ティでは『変な日本人』から『変だけどベトナム語をちょっと話す日本人』に分類分けされているような気がします。

高いレベルにならなくても『ベトナム語を勉強している』と言える状態にはしておいたほうが良いと思います。

三浦

【質問】ベトナムでの地域社会との関わりはどうですか?

宮地

毎週決まった市場に行くのでそこの人々は顔見知りになっています。
他には、マンションの守衛さんやご近所です。喫茶店やビアホイで賑わっている集団に飛び込んで行って友達になる・・・ようなことが出来ればいいのですが、私のベトナム語ではまだ難しいです。

三浦

【質問】異文化コミュニケーションや理解についてどのような学びがありましたか?

宮地

異文化理解というのは一方的なものではないということです。

これは当然、自分の意見を押し付けてはいけないということですが、納得できないものを無理やり受け入れようとしないということです。そのスタイルを貫こうとするにはやはり言葉が大切になります。『文化の違い』をポジティブに捉えたほうがいいということも言えます。嫌なものだと考えちゃうと、もうそこから吸収できなくなっちゃうんで。

三浦

【質問】結婚を通じて得られた異文化間コミュニケーションのスキルが、日本語教育活動以外の場面でどのように役立っていますか?

宮地

結婚を通じて得られたとは違うかもしれませんが、妻に「お坊さんにあいさつするときはなんといえばいいか」「タクシーでこう聞かれたらどう答えればいいか」など具体的なケースを想定した質問をできるので助かっています。

三浦

【質問】ベトナム人が仕事場にとても多い中で、国際結婚されたことによる影響で、仕事のコミュニケーションの仕方と、家庭内のコミュニケーションの仕方双方に役立っていることはどんなことですか?

宮地

問題は不機嫌な顔をしているだけでは解決しない、という意識が強まりました。日本だとちょっとイライラしてたら周りの人が気を遣ってくれることがよくあると思うんですが、それはベトナムでは不機嫌な顔をしてるだけでは全然周りが気遣ってくれたりはしないんで、相手に協力してほしいときはちゃんと自分から言わなきゃ駄目だという考えに変わりました。

三浦

とても勉強になるお話ありがとうございました!

宮地

ありがとうございます。

終わりに

今回の『国際結婚は仕事観にどのように関係したのか? 国際結婚と日本語教育についてインタビュー:仕事観、日本語教育について Part2』宮地先生のインタビューいかがでしたか?ベトナム語を使いベトナム社会に入り込んで生活している宮地先生の生き方は、海外移住を考えている方にとても興味深いのではないでしょうか。そしてベトナムに住み続けベトナム語が話せる日本人日本語教師は、ベトナムの日本語学習者にとても心強い存在と思います。わたしたちの事業に関してのお問い合わせなどはこちらからお願いします。また、Facebookページをフォローしていただくと、記事更新の通知だけではなく、Facebookでしか見れない#日常の一コマをご覧いただけます。ぜひ覗きに来てください。それでは次回の更新をお楽しみに。Hẹn gặp lại nhé!(また今度!)

ABOUT US
三浦 嘉大
武蔵大学経済学部経営学科卒業。専攻はマーケティング。 2017年から2018年まで国際交流基金の事業でベトナムに派遣。そこでベトナムが好きになり、その後またベトナムに戻る。日々新発見なベトナム生活に夢中になり続け現在に至る。2022年からSun*教育事業部に参画。休みの日は映画館・ベトナムカフェ巡りが趣味で、ハノイ市内の映画館は全制覇。ライフワークは国際交流。