日本で活躍する高度人材はハノイ工科大学に 〜バラエティ豊かな学生とそれを支える教師陣〜

 Xin chào các bạn(こんにちはみなさん)!ご覧いただき、ありがとうございます。
今回から実際に教壇に立ち授業をしているSun*の教師が各大学の魅力を発信していくプロジェクトをスタートしました!
その名も

【ここが魅力!私たちの大学紹介Project】

私たちSun*がベトナム国内で日本語教育・IT教育を提供している大学は全部で4大学あります。
その中で今回取り上げるのは、ハノイ工科大学(Hanoi University of Science and Technology 略称:HUST/ハスト)。
他大学と比べたHUSTの魅力とは何でしょうか。
教育現場の先生たちから、ここだけでしか聞けない生の声をみなさまにお届けします。

魅力1!教師陣の層の厚さ

ベトナムの最初の技術系総合大学であるHUSTには、2020年の時点で34,000人以上が在学しているという大規模の大学であり、毎年約6,800人の学生が入学します。
参考までに、新入生の中でIT学部の学生は約1,370名おり、そのうちの約250人が弊社がサポートしているHEDSPIという日本語コースを選択しています。
これは1学年での話ですが、大学全体に話を広げると、約800人の学生がHEDSPIを選択しており、21名の教師がSun*の教師として各学年で日本語を指導しています。
この数字からお分かりかもしれませんが、国内トップ大学のIT学科の中で最大であり、圧倒的な数の学生と教師がいるのがHUSTの第一の特徴になります。

教師陣には、中国や韓国、香港、オーストラリア、メキシコで日本語を指導してきた教師の他に、シンガポールやマレーシアなどでサービス業などの異業種に携わっていた経験を持つ教師がいます。
もちろん日本でも、インドやベトナム、中国など多国籍の学生を同じクラスの中で指導してきた経験を持ち合わせる教師もいます。

学生に負けず、バラエティ豊かな教師チームは勉強会や情報共有会を開き、教科としての日本語指導の他に、日本や日本企業で働きたい学生にとって活躍するうえで必要になるスキルやマインドが何か、時には議論もしながら常に考え、試行錯誤しながら実践しています。
教師自身も学生と共に学んでいると言っても良いかもしれません。

実際に外国で指導に当たった教師の話を聞いてみました。

中国で指導歴のある教師

H先生

「中国人学生が母国語の影響により間違えるところと、ベトナム人学生のそれとが似ているため、現在ベトナムで教鞭をとる際に中国での指導経験が役立っている。
またその観点から、学生が間違えたり課題に感じるところに対して、彼らの母国語や文化的な背景が原因かもしれない、という考えを念頭において指導できている。
その結果、学生の上達のために教師がするべきアプローチとして、母国語や文化的背景を踏まえて指導するという授業の引き出しが増えたと思う。」

数か国で異業種で働いた経験を持つ教師

I先生

「自分自身が、異国での言葉の障害だけではなく、その文化の違いの中で経験したジレンマや悩みがある。
例えば、異国で病気になり入院した際の医療機関での常識の違いや国によって異なる問題への取り組み方や結果の出し方の違い。
さらに、思い込みや偏見を受けた際の葛藤などを経験しました。
その時に自分がどのように考え、どのようにその問題に向かい合ったかなどを、授業の中で出て来る言葉や文章に関連付けて学生に話し、「自分ならどうするか」を考えさせる「自分ごと化」の時間を与えながら授業をするようにしています。
それを指導のカリキュラムの時間内でどれだけ伝えられて、自分の未来に起こり得る事だと自覚させられるかは大変難しい。
しかし、どれだけの学生がその話の意図をくみ取り、そして吸収し、この先の未来で咲かせる大きな花や実をつける糧にしてくれるかを想像して指導するのは、教師の楽しみでもあり、チャレンジでもあります。

ほんの一例ではありますが、このように理論という骨組みに、各教師の様々な角度による経験を肉付けしながら学生に教えられる、そしてそのバリュエーションの多さは、HUSTにしかない唯一無二の魅力だと感じています。

魅力2!他大学と比べた圧倒的な学生数

教師の数が多い、ということは学生の数も多い、ここがHUSTの第二の魅力です。
日本語教師21名がかかえる学生の数はなんと800名以上!
これだけ人数がいると顔を覚えるのも大変…ではありますが、その分様々な学生がいるため、いい意味で飽きることなく(笑)、教師自信が身を引き締めて取り組まねば!という活力にもなります。

多くの学生がいるということは、まだ粗削りではあっても、多くのダイアモンドの原石のような才能や人材に巡り合えるチャンスに恵まれているということです。そんな将来日本で活躍してくれるであろう彼らを一部ご紹介します。

日本の文字が好きで、一生懸命文字をきれいに書こうとする学生

この学生は、漢字の「はね」や曲線の角度など、細かいところにも気を配りながら書いているため、おそらく仕事をしても細かいところまで気を配り、ある意味日本人的な繊細な仕事をするのだと思います。

日本人でも知らないような、ある意味マニアックな歴史や言葉を調べるのが好きな学生

彼は「なぜそれが起こったのか?」という、当たり前の事実に疑問を投げかけることができ、それを自分で納得いくまで徹底して調べます。
分析や対策などの論理的思考が特に問われる分野で将来活躍できる可能性があります。

授業中は大変物静かで発言も少ないですが、試験の点数がとても高い学生

彼女は他人の目を気にせずコツコツ努力を積み重ね、実行していく正確さも持ち合わせています。
きっと企業に入社しても、周りに流されず、責任感を持って自分の仕事に取り組めるのではないでしょうか。

他にも様々な学生がいます。

  • プレゼンテーションや発表などの際に積極的に仲間を助け、仲間にも頼られる存在である協調性や統率力に優れた学生
  • 常に礼儀正しく落ち着いた態度で冷静に答えられる学生
  • まっすぐに相手の目を見て相手が話す意図を聞き取ろうとする学生
  • 日本の文化や風習や国民性などに興味を持ち、自分に必要な部分を取り入れようとしている学生

などなどダイヤモンドの原石を挙げたらキリがありません。

そして特筆すべきは、上記のような個性を持った彼らが、ベトナムの東大とも言われるここHUSTで最先端のITを学び、日本語能力を掛け合わせて持っている学生であること。
その才能や個性に加えて、ベトナム人としての明るさや真面目さなどの国民性を掛け合わせると、わたし達がまだ出会っていない、新しい未来を築く魅力ある人材がこの大学に集まっていると言えるでしょう。

Sun*Job Fair(以下ジョブフェア)では、このように豊富な人材の中から企業にあった学生に出会えることが魅力で、こういった学生数の多さはHUSTの最大の武器でもあります。
そこで、実際にジョブフェアで内定をもらった学生に自己分析をしてもらい、インタビューをしてみました。

今回インタビューに協力してくれた学生

  • Luong Duc Minh(ルオン・ドゥック・ミン)さん
    (写真左)
  • 2021年時点で4年生

はにかんだ笑顔が魅力の学生です。

ー 日本企業に内定をもらった学生として、自分の強みとは?

「自分が内定をもらった会社は、内定者の数が多いです。でも、人数は多いんですが、個性がかぶっている内定者はいないという印象です。なので、企業はさまざまな個性をもった学生を探していたと思います。

その中で、私の1番の強みは冷静によく考えてから行動することだと思います。
同じ内定者の中ではこのような強みをもつ人はあまりいないように感じました。
他の人は直感的に話すイメージ。
でも私は急な変更に対しても、何が足りないかよく考え臨機応変に冷静に行動できます。私が内定をもらった企業が多くの他の内定者を獲得する中で、こういった私のような人材だけが足りなかったのかもしれません。それで自分が選ばれたのではないかと思います。
実は内定をもらうまでは『冷静』であることが強みだと思っていなかったんですが、今は自分の強みとして、自信になっています。」

内定の決め手となった自分の強みを語ってくれました。
学生が気づかなかった強みを企業が見つけ、企業にも足りなかった人材が見つかる。
さらにお互いの自信となるといった様に、企業にとっても学生にとってもいい出会いが生まれたようです。

授業の取り組み 

では、このように多くの個性を持つ学生をどのように指導しているのか。
現在行っている指導例と目的を次にいくつか挙げてみましょう。

2年生の例

2年生はHUSTの中でも最も多い250人が在籍しています。
その2年生の授業において、2週間に1回席替えを行っています。
「え?そんなこと?」と思うかもしれませんが、この席替えによって得られるものは大きく、チームワーク学生間の学び合いを促しています。

席替えを行おうと考えたのは…

  • 250人という規模にも関わらず、同じ席のままだと話す人が固定されてしまう
  • 学生同士で助け合える環境がなかった
  • だれにも聞けずわからないままで終わってしまう学生が多かった

という問題が出てきたからです。
ここでHUSTが重要視している3つの力をご紹介します。

誰とでも話せるコミュニケーション力

チームで考える力

わからないことを聞ける力

これらは就職してから必ず必要となる力ですが、できるだけ早い時期からこの力を学生に身につけてもらうために2年生チームでは、まずは「席替え」から始めようと話し合いました。
*日本人のわたしたちにとっては当たり前の力かもしれませんが、ベトナムではチームワークよりも、個が重視されるという文化的理由もあります。

その効果として、今まであまり授業内で話さなかった学生が積極的な学生の隣に座ることで相互作用を起こし、活動に積極的になったという場面が多く見受けられました。
また、2週間に1回の頻度のため、学生が学習環境に飽きず、常に新鮮な気持ちで授業に望んでいる姿勢が見られます。

実際に学生に話を聞いてみました。

  • 「クラス内でもいろんな人と話す機会が多くていいと思う。隣の人が教えてくれたり、いい影響をもらえたりする。」
  • 「去年まではずっと同じ人と隣同士だった。仲がいい友達が近くにいるのはいいけど、ずっと同じはつまらない。」
  • 「席替えをすることで、コミュニケーション力が上がった気がする。今まで話さなかった人とも仲良くなれた。これは将来仕事する時にも役に立つと思う。」

このような肯定的な意見が多く聞かれました。
いろんなクラスメイトとの関りが増える中で、学生自身も2年生になって、自分と将来を結び付けられるようになったようです。

また、学生間の協同学習も2年生は重要視しており、週に2回「Trung Tam K64」という自習クラスを開いています。
(Trung Tam チュンタム:センターや施設の意味、K64:HUSTの2年生を表す記号)

このクラスでは当初、勉強が苦手な学生が自分に足りないこと自分で考え、自分で勉強計画を考えて自習するものでした。
まずCan-doリストを始めに作ってもらい、勉強したいことを考えてもらいます。
自習後、教師と勉強した内容を少しだけ確認し、できなかったことを確認し、自分ができる事とできない事の把握をしてもらいます。

自習内容を確認する教師と学生

このクラスでは当初、勉強が苦手な学生が自分に足りないこと自分で考え、自分で勉強計画を考えて自習するものでした。
まずCan-doリストを始めに作ってもらい、勉強したいことを考えてもらいます。自習後、教師と勉強した内容を少しだけ確認し、できなかったことを確認し、自分ができる事とできない事の把握をしてもらいます。
そうすることで「わからないことの把握」ができるようになると考えています。
実際にこのクラスに参加しミニテストや課末テストの点が伸びた学生もいます。
最近では、友達を誘って一緒に勉強する学生も増えてきました。
自分達で考え、学び合って勉強をする意識が少しずつですが芽生えてきています。

この他にもHUSTでは1年に2回ほど学年が異なる学生同士の交流も行っています。新しく入学した1年生に向けた交流会や内定をもらった先輩から話を聞く機会もあります。

後輩にアドバイスする2年生

左の写真のようにリラックスした雰囲気で後輩に向けて、日本語の勉強方法や学校生活のことなどをアドバイスしています。
普段聞けない「学生目線のアドバイス」を聞くと、卒業後の進路や勉強方法などを自分に置き換えて考えやすいので、話を聞いた後は勉強に一層気合いが入った様子の学生も多く見られます。

このようにクラス間だけでなく、学年間でも学生同士で刺激をもらえるのは、学生数の多いHUSTならではの魅力です。

4年生の例

日本語をある程度習得した4年生は、『まるごと』という教材をベースにして、プレゼンテーションを行っています。 
具体的には、「アニメ」や「祭り」「便利な道具」など、学生にとって身近な話題について取り上げつつ、チームワークや責任感の育成を目的とする授業となります。
それは「プレゼンテーション」という本番の時のみならず、それに向けての準備段階でも培われています。

例えば、1回のプレゼンテーションの準備として3回の準備授業を行います。順番として、以下のような流れで進めます。

  1. 必要な語彙や文法、よく使われる表現の学習
  2. 短い文章で状況や感想を表現し、まとまりがある内容として話すための素材を集める
  3. 少し長い文章を使いながらチームで意見やアイディアを出し合い、それをクラスで発表し、互いに間違いを指摘したり、他人のアイディアに触れる

その際に、学生を前に出しチームで話した概要を黒板に書かせます。

チームに1本チョークを渡すと、チームの中で一番できる人、自信のある人、頼られている人が最初に前に出てくるケースが多いです。
しかし一番最初に書かせるテーマは1番簡単な部分。その後項目ごとにメンバーを交代して書かせることで、自信のない学生や日本語を書くことが少し苦手な学生に対して、チームメンバーが協力してアドバイスをしたり教え合ったり、訂正したりする光景が見られます。
図らずもチーム対抗の要素も入るので、「チームのために、チームの代表として」前に出ている意識も自然に芽生えます。
学生同士の教え合い・助け合いの中で学ぶことの影響も大きく、プレゼンテーションに向けてのチームワーク強化にも繋がっています。

そしてプレゼンテーションの流れとしては、以下の通り。

  1. チーム内でテーマやリーダーを決め、そのリーダーを中心に役割分担を決める。リーダーは教師との連絡、チームメンバーへのタスクの振り分けなどを行う(リーダーは毎回変わる)
  2. 各自、期限を決めて調べたものを持ち寄って相談し、1つのものを作り上げ、練習する
  3. チームで発表し、他の学生からの質問にはチームで相談しながら回答する

この内容で、毎回テーマを変え、前期で4回行いました。

「チームのために自分の役割を遂行し、1メンバーとしてしっかり発表する」という共通認識を持ち、責任感を培う目的があると先に述べましたが、実際に1回目と4回目の発表では、内容の把握度や発表の際の目線や指示の方法、アピールの仕方など、見せる意識も踏まえ日本語力以外の態度にも大きな成長が見られました。

他のチームのスライドやプレゼンテーションを見ることで、「前回よりも良いプレゼンテーションにしたい。他のチームとは異なるプレゼンテーションにしたい。」と、試行錯誤しながらも工夫する力が大きくなったと感じます。

発表後には必ず他のチームから質問をさせるのですが(下記写真を参照)、その際にも、できる学生だけが答えるのではなく、チームで考えをまとめて回答したり、2つ目の質問には別の学生が答えるなど協調性も身についています。

どんな社会でもどんな集団でも同じように、学生の能力や得意分野に個人差があるのは否めません。しかし、その得意分野を伸ばし、不得手なところを克服したり、仲間でカバーし合う能力というのは、実際に何かの作業を通してでなければ、身につかないものです。それを学生のうちから身に着けさせるのが一つの大きな目標であり、チャレンジでもあります。

プレゼンテーション中心の授業にたいしては、以下のような学生の声が聞けました。

  • 「最初は大変で時間がかかった。しかし4回目は作業も速くなり、責任感も生まれ、チームワークを楽しめた。」
  • 「レベルが異なる学生がチームにいるので、わからないところはすぐに聞ける。安心して頼れる。同時に、自分も頑張らなければいけない、迷惑をかけないように、という気持ちが生まれた。」
  • 「先生から、『教えることは知識を深めるためのアウトプットだ』と言われたので、わからない仲間には積極的に教えようと思って作業をすすめた。」 
  • 「会話や発表など、スキルはまだまだだが、半年前より自信がついた。最後は工夫することが楽しかった。」

など、確実に学生の中に芽吹いた意識や感覚があったようです。

以上は取り組みの中の一部にすぎませんが、学生同士の積極性や協調性を引き出す工夫を各学年チームが行っています。

終わりに

HUSTはSun*が教育事業を行うベトナムの大学の中で最大規模の大学です。
荒削りの原石が互いに刺激し合い、そこに個性的な教師も加わることで相乗効果をもたらし、教師も学生も成長し合える場であるのが、HUSTです。
中学高校での細い川を経由し、いずれ社会という大海に出る前に、互いを磨き合う場がHUSTです。
ぜひジョブフェアを通して、近い未来にあなたの企業で活躍できるたくさんのダイアモンドの原石に出会ってみませんか。
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それでは次回の更新をお楽しみに。Hẹn gặp lại nhé!(また今度)

ABOUT US
永田勝也Sales Planning
日本では公立高校や大手英会話スクールで英語教育に従事。 その後、バックパッカーやバイクで日本一周などを経験したのち、一念発起し2017年に来越。豊富な語学習得の経験を生かし、日本語教育と英語教育の両方に携わっている。2018年には語学教師としてさらなるキャリア形成のため、ベトナムで働きながらイギリスのLancaster大学でTESOL(英語教授法)修士課程に無条件合格で入学し、2020年に修了。 現在はSun*の教育事業部で日本語教師として活躍しながら、教育現場の視点を生かした施策やコンテンツ配信を担当している。 座右の銘はYou Only Live Once.(人生は一度きり)