Xin chào các bạn(こんにちはみなさん)!Sun*教育事業部の永田です。
今回もご覧いただき、ありがとうございます!
2020年12月、ハノイ工科大学で学んだ5年間の集大成として、学生による最終発表がありました。学生たちは実践IT授業で、Sun* Japan でも採用されているリーンスタートアップを使い、アイデアをビジネスにする手法を学んできました。
そして迎えた最終発表では、実際に開発したサービスをデモンストレーションも含めて発表。
当日は同じくIT講師の眞田(さなだ)さんと、開発側の責任者をしている西さんの2人が投資家役として参加し、学生の新サービスを評価しました。
さらに学生の成長を見届けるべく、かつて日本語授業を担当した先生たちも多数参加し、まさに学生たちの集大成と呼ぶにふさわしい一大イベントになりました。
この授業は、弊社を表す「価値創造」「アップデート」の2つが顕著に現れている内容です。
海外人材の採用を検討されている人事の方はもちろん、教育事業に関わられている方、そして開発現場の方にも、Sun*がどんな組織で、どんな教育をしているのかイメージしていただける内容です。ぜひ最後までご覧ください。
リーンスタートアップとは?
まずはリーンスタートアップと、それを取り上げた経緯を簡単に説明します。
リーンスタートアップとは、「コストをかけずに最低限の製品・サービス・機能を持った試作品を短期間でつくり、顧客の反応を的確に理解・反映させることで、顧客がより満足できる製品・サービスを開発していくマネジメント手法」です。
つまり、低コストで相手がほしいものをトライ&エラーの繰り返しで作っていく、というやり方です。
そして、この授業を説明する上で重要になるキーワードが2点あるので説明します。
- アントレプレナーシップ
起業家精神と訳されますが、新事業や新商品の開発などに高い創造意欲を持ち、それに伴うリスクに対しても果敢に取り組んでいく姿勢や発想、能力のこと
- DX(デジタルトランスフォーメーション)
デジタルを活用し、ビジネスモデルを変換することで新たな利益や価値を生み出すこと(デジタライゼーション)
言われたことを忠実にやる。もちろんそれもスキルの一つですが、社会に蔓延る課題とそれを望む顧客を特定し、その課題をITにより解決することで、社会の発展に貢献する。アントレプレナーシップのもと、社会に新たな価値を創造し、アップデートを繰り返していく。そんな存在が社会(少なくともSun*)には必要だと考えています。
前置きが長くなりましたが、そんな想いからこのリーンスタートアップというどの大学でも実践していない授業がスタートしました。
リーンスタートアップの授業設計
以下のような内容で授業は構成されていました。
- アイデア発想法(組み合わせ発想法など)を通して、新しいアイデアを考える練習
- リーンスタートアップの概念や具体的な手法
- MVP(実用最小限の製品)開発とアーリーアダプタへのインタビュー
- 必要なツールを使用したWebアプリケーション開発(新サービス)
- スクラム(チームのコミュニケーションを重視し、PDCAを回していく開発手法)
これらを通して、学生たちはスタートアップのための必要事項が準備できるようになるのはもちろん、発注者の意見を取り入れて、アプリケーションの仕様を策定できるようになり、その仕様を完成させるために決めたスケジュールに沿ってスクラム開発していく、というリーンスタートアップの考え方には欠かせないスキルを身につけてきました。
プレゼンテーションの様子
学生たちは以下の4つに沿って、投資家に向けて発表しました。
- 現状の解決すべき課題の共有
- ペルソナ(サービスを利用する対象者の想定)
- 新サービスの機能や特徴紹介
- デモンストレーション
発表は、「新サービスはお金を払ってでも使いたいか」という観点から評価されます。
また、この評価は投資家として参加している2人はもちろん、全学生が各グループの発表後にGoogle Formを使って評価する相互評価を取り入れていました。
以下はほんの一例ですが、学生たちは顧客の課題を捉え、それを解決すべく、様々な新サービスを開発していました。
『地震の際、位置情報や危険性、避難場所として安全な場所を知らせるサービス』
『オンラインで目的に合わせた花が買えるサービス』
『アルゴリズムを活用して、自分にあうファッションを選択してくれるサービス』
『小さい子どもを持つ親が夫婦でデートできるよう、レストランの予約ができるサービス』
地震に関するサービスについて少し深掘りすると、地震が多い国・地域では、生活に不安を覚える人が多い。そして、発生頻度も過去のデータから増加し、実際の被害額も相当な額である。地震がいつ起こるかわからず、近くの避難所の情報が必要である。
この課題に対しサービスを考え、MVPを用いてインタビューを世界中のアーリーアダプタに行い、フィードバックをもとにエリアのフィルタリング機能や避難所までの位置情報を使った案内機能なども追加で実装したそうです。
また、有料機能を追加することで収益をあげるというビジネスモデルを想定していました。
素人の私からすると、顧客のニーズを反映させてサービスを作っている点に感心してしまいましたが、そこはやはり投資家の2人がしっかりビジネスとしての妥当性を考えます。
このサービスに対する投資家のフィードバックとしては、
位置情報サービスを使って、近くにある避難場所が確認できるのはいいが、各避難場所が何人くらい避難者を受け入れるキャパシティがあって、どのくらい空きがあるのかの情報がないとサービスとして成り立たない。
などなど授業の一貫とはいえ、あくまで投資家目線で妥当性を質問していきます。
徹底してサービスが本当に成り立つのか、そのクオリティはもちろんのこと、そもそも顧客が本当に欲しいものなのか、顧客のニーズを満たせるのか、ペルソナ設定は正しいのか論理性もしっかり判断します。
ありとあらゆる状況をイメージしていたかと思いますが、そこはやはりまだまだ社会人経験のない学生。
フィードバックでは苦しそうな表情を浮かべることも。
一般的に単機能の作り込みなど、手を動かす作業が得意とされるベトナム人
しかし新サービスとなると、論理的に考える力が必要です。
反対に、思いついたアイデアをサービスにして、その顧客を探すというやり方では顧客は見つからず、多大なコストを無駄にしてしまいます。今回の発表で100点満点の発表をしたという学生はおらず、まだまだ論理性や妥当性という点では発展途中なのは事実です。
しかしながら、国籍問わずどこの国の大学生でもできないことがほとんどなはず。
ベトナムの大学生が日本就職を前に、このような実践的な開発全体のプロセスを授業で行うこと自体が唯一無二の授業です。
担当教師は何を考える?
この実践IT授業という科目は、日本のIT企業で働くうえで必要となるスキルを教師がPMやSEとして働いている経験をもとに、授業に落とし込んでいくというスタイルをとっています。今回とりあげたリーンスタートアップはその中でも前例がなく、授業で扱うのは初めてでした。そこで、この授業を設計から担当した教師の声もみなさまにお届けしたいと思います。
授業設計をゼロから行うという点に関して
「リーンスタートアップで必要となるツールはすでにあります。また、Sun*でリーンスタートアップによる開発をしているナレッジも活用できます。なので、それらをどのように学生目線に落とし込むか、という点に工夫が必要でした。もちろんこの授業をする意義を理解してもらうのは大前提です。毎回授業が終わってから振り返りをしていたので、学生の反応や理解度からその妥当性はいつも考え、私も改善を繰り返していました。」
授業を通して感じたこと
「課題の本質を捉えて、その課題を解決し、アイデアを発展させていくという考え方ができる学生はまだまだ少ないという印象でした。
課題の本質を捉えるというのは、自分の思い込みや信念に則ってやる、という意味ではなく、その課題の妥当性を検証するプロセスの重要性を理解し、実行していくという意味です。授業で言えば、ペルソナ設定やインタビューなどですね。
なので、この授業では本質を捉える力をいかにして養うか、というところに焦点を当てていました。」
とはいったものの、最終発表に至るまで、授業内では何度もフィードバックをしており、中間発表も実施しています。
それらを通して、本質的な内容をとらえ、改善していく学生が授業を重ねるにつれて増えていったという印象です。
その結果、最終発表ではアイデアが解決できる社会の問題やそのアイデアの有効性を期待以上のレベルで発表した学生が予想より多かったです。
しかしながら、本質を捉えられなかった学生が一定数いたことも事実です。
授業は日本語で行っているので、日本語の理解度も一つの原因であることは間違いないでしょう。
でもそれ以上に、ベトナム国内で、妥当性や有効性を検証するというプロセスの重要性ややり方が浸透していないかもしれません。
なので、今回のリーンスタートアップのような進め方にまだ慣れていなかった可能性があります。」
学生が得たもの
「この授業が学生にとって得るものが多かったと自信をもって言えます。特に経験という点においては、大きな収穫になったと思います。
検証プロセスの重要性や実践方法はもちろん、そもそもアイデアを0からビジネスにしていくやり方を経験することなんて日本のエンジニアでもなかなかない。
その経験が大学生の時点でできたということは、彼らが社会に出てからも財産になると思いますし、新規事業などでも、その経験は活かせると思います。
今後もこういった時代のニーズを反映させた授業は学生のためにはもちろん、教師として時代のトレンドに乗り遅れないようにやっていくべきだと思います。」
終わりに
今回は5年生によるリーンスタートアップを使った新サービスの発表の様子をお届けしました。
教科書がなくても、必要とされている授業をアップデートを繰り返しながら進めていく。
Sun*にしかできない授業ですね。何はともあれ、5年間お疲れ様でした!
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