みなさん、こんにちは!xseeds運営担当の越本です。
ベトナムでも2月の旧正月(テト)開け、新年ですね〜。
タイトルのとおり、ベトナムの労働市場の、特に給料にスポットを当ててリサーチしてみました。グローバル人材の採用を検討するとなれば、当然現地の給与感を気にされる方もいらっしゃるかと思います。恐らく読者の皆さんの中には、まだまだベトナムは発展途上国で給料はすごーく安い!と思われている方もいらっしゃるかも知れません。
たしかに、そういった一面はまだまだありますが、ベトナムは国自体のGDPの成長率も依然として高く、その中でも特にIT分野は成長産業です。もしかしたら、意外な情報があるかもしれませんね!?
今回記事の作成にあたり、インターネットの記事から、国内のHRサービス企業が発行しているマーケットレポートまで色々と集めてみました。ソースも記載しておきますので、ぜひ、ご活用くださいませ。
国全体
最低賃金(全国)
まずは、国の産業全体の最低賃金から説明します。
ベトナムにも日本と同様に地域ごとの最低賃金が存在します。
参照元)ベトナム人事の基本⑮ (ベトナムの最低賃金2021年)
- 最低賃金
- 都市部(第1地域)で4.42mil VND(= ¥22,000 – 23,000)
- 地域別に4区分されている
- ハノイ、ホーチミン、ダナンなどは第1地域に分類
- 上昇率
- 都市部の上昇率は19→20年で5.7%UP
- 過去5年で26.4%アップ、平均7.36%の上昇率
(上昇率:16(12.9%)→17(7.1%)→18(6.1%)→19(5.0%)→20(5.7%))
統計データから分かる通り、賃金上昇率はここ5年で平均約7.4%の上昇率です。
日本だと賃金はほとんど変化がありませんが、ベトナムはGDPの成長率、現行の最低賃金などを考慮すればこの成長も納得です。
収入(全国)
次に、ベトナムの平均月収を見ていきましょう。
月収
参照元)Vietjo 【第54回】一人当たり平均月収から見るベトナムの地域格差について
単位: 1,000ドン
2010年 | 2012年 | 2014年 | 2016年 | 2018年 | 2020年 | |
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ハノイ市 | 2,013 (¥9,585) | 2,945 (¥14,023) | 4,113 (¥19,585) | 4,875 (¥23,214) | 5,901 (¥28,100) | 5,981 (¥28,480) |
ホーチミン市 | 2,737 (¥13,033) | 3,653 (¥17,395) | 4,840 (¥23,047) | 5,109 (¥24,328) | 6,351 (¥30,242) | 6,537 (¥31,128) |
参照元)JETRO 2020年版ベトナム家計生活水準調査結果の速報を公表
- 平均月収はハノイ・ホーチミン市で6,374,000VND (¥30,350)
- 大卒の初任給は250~380USD(¥28,000 – ¥39,200)
- 1人当たり月間平均所得は10年間で3倍に増加
- ハノイとホーチミンでは、ホーチミンの方が高い10%程度高い
このデータだけみれば、読者のみなさんの中には「こんなに低いの?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これはあくまでも平均です。農家や工場などのブルーワーカーの割合が大部分を占めていることが要因だと考えられます。
驚くべきは、成長率ですね。10年間で約3倍に成長しています。(日本の場合2010年と2019年で比較すると1.06倍とほぼ横ばい)
経済発展が続き、高等教育機関への進学率も上昇しているので、中間層が急激に増加しています。記事:この記事によると、この中間層は2030年までに3600万人、人口の75%に拡大するとのようです。この中間層ですが、「1日11USD(約¥1,250)以上の可処分所得のある人」という定義のようです。
参照元)
ベトナムの大卒初任給、月250ドルから
ベトナムの中間層、今後10年で+3600万人増 全人口の75%に
業界比較
参照元)One value_ベトナムの平均年収:業界別の特徴を解説
- IT業界は、業界別で3位
- 1位、2位はインフラ事業であるため、国営の名残りが濃く、所得が高い
業界別の給与差については、こちらの記事が詳しいです。
メーカー・製造業系は、アウトソース先としてがメインで、R&D機能をもった会社が少ないため、この位置かと推測しています。情報通信系は、現在3位ですが今後もっと順位を上げることが予想されます。xseeds学生の中には学生時代から外資系企業のプロジェクトに参加し、500 – 1,000USDの報酬を得るような強者もいるくらいです。
ここまで、ベトナム全体についてまとめました。
ここからは、大部分のxseeds学生が専攻しているIT業界について説明していきます。
IT業界について
月収
参照元)TOP Dev Vietnam IT Market Reports
参照元)Navigos_THE REPORT ON ICT EMPLOYMENT
- ~2year : $342 -$530 (¥37,620 – 58,300)
- FRESHER(新卒〜2年まで)でも全国平均の約1.7 – 2.9倍
- 2 ~ 4year : $525 – $1,161 (¥57,750 – 127,700)
- 2 ~ 4年の経験者となると全国平均の約2.6 – 5.9倍
注目すべきなのは、FRESHER(新卒〜2年まで)の中の上位20%は500-700USD、4%は701-1000USDが初任給のレンジとなることです。
xseedsで学んだ学生の中には、自ら現地国内での就職をする学生もおりますが、国内で就職したとしても上位20%(500-700USD)の給与レンジで仕事に就いています。
給与の変動要因
給与の変動要因として大きくあげられるのは主に技術スタック、技術レベル、職種です。
これらの内容もレポートに記載があったので紹介したいと思います。
技術別
参照元)TOP DEV_Vietnam IT Market Reports(2021)
こちらの図は、2021年の技術別給与平均です。
図からもわかるとおり、ベトナムの市場も他の市場と同じくデータサイエンス系、クラウド系の技術がトレンドであることがわかると思います。
これらの技術があれば新卒でも750USD以上の給与となることもあり、エンジニアからの注目度も高い技術です。
職種別
参照元)TOP DEV2_Vietnam IT Market Reports(2021)
こちらの図はポジション別の給与平均です。
先ほどお伝えしたデータサイエンス系(データアナリスト、機械学習、AI)だけでなく、クラウドやDevops系の重要性も高まっています。このトレンドは、ビジネスの維持・発展において必要なビジネスのデジタル化がコロナ禍により促進された影響のようです。
プロジェクトマネージャーの給料は、現地でこの職種を3年程度経験すると1,500USD以上になる場合もあり、経験値の多い人では2,500USD程度まで到達します。
技術的なスキルだけでなく、マネジメントやコミュニケーション能力などのソフトスキルを要する職種のため、マーケットでは希少性が高い印象です。
ベトナム現地でもこれだけの給与水準を目指せる業界になってきています。
ITエンジニアは優秀であればあるほど、検索リテラシーも高いため、採用側も日本基準だけでなく、業界全体のトレンドに注意を払った方がよいかと思います。
言語スキル
多言語を操るエンジニアの場合、外資系企業ではブリッジSEとしての活躍も期待されます。
参照元)IT Navi2020
- 言語スキル(日本語の場合)
- N3 +100USD ~ 150USD
- N2 + 150USD ~ 250USD
- N1 + 250USD ~ 350USD
- 日本語資格手当→N2: 約100USD、N3: 約150USD
- 仕事で使う場合→N2: 約100USD、N3: 約150USD
資格手当は、資格所持者に与えられる手当のことです。会社の規定などによって、この資格をもっていれば仕事で使用するかどうかは関係なく、一律で支給されます。さらに資格を活かした仕事をする場合に、ベース給与額が向上します。会社として資格手当を定義していない場合、ベース給与額に反映する会社が多いです。
xseeds学生の中には、内定を取得したが、日本政府のコロナ水際措置の影響で渡日できず、現地国(ベトナム)でリモートワークするケースが増えています。この場合、彼らへの適正給与は、
- N3所持学生の場合、600USD (¥66,000)
- N2所持学生の場合、650USD (¥71,500)
が適正ラインであると考えています。
リモートワークのため、オフライン時の正社員給与(500-700USD)と同水準と考えることは難しいため、ベース給与を500USDと仮定しています。
日本語を業務で使用することは考えられますが新卒のため、中途採用の条件と同水準とは考えにくいためこのような数字となっています。
終わりに
いかがでしたか?
2011年にベトナムで現地採用で就職した私からすると、とんでもない成長スピードで本当に驚くばかりです。
情報産業は、インターネットと技術発展により国の境界が他の業種より低く、そのため他の産業と比べ、その成長も著しいものがあります。
この記事が少しでも皆様の採用のお役に立てれば、嬉しいです。
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