みなさん、こんにちは。
Global Education Unitの越本ヒュー@ハノイです。
以前からこのブログでは、弊社が取り組んでいる、【ベトナムトップ大学と産学連携したITエンジニア教育】を様々な側面からご紹介してまいりました。
事業の内容や、働く人にスポットをあてたインタビュー記事など、現場の雰囲気が伝わればと思い色々作成しているので、もしよかったら、そちらの記事もご覧ください。
さて、本日ご紹介するテーマは、
そもそもベトナムと日本の大学ってどう違うの?
という部分についてです。いくつか違いをご紹介していきたいと思います。
私はこの仕事に就くまで教育とは無縁の仕事をしていたので、日本の教育業界のことすら良く知りませんでした。
現在は、ベトナムで大学生向けの教育に携わっておりますが、自身が受けた日本式教育との違いを日々考えています。
また、比較することで自分の礎になった日本式教育について考え直す機会にもなるので、とても興味深いです。
これから、日本で働く外国人もますます増えていくかと思われます。そのような世界で必要なものは、多様性です。
そして、多様性を持つには、違いを知るところから始まります。
ぜひ本記事をお読みになり、日本との違いについて知っていただければ幸いです。
※大学のみならず、ベトナムの教育制度全体、なぜベトナムは数学に強いのかということに焦点をおいた記事も別途掲載していますので、合わせてぜひご覧ください!
ベトナムの教育制度 1年の流れ
ベトナムの学校は、毎年9月から始まります。
2月前後に始まる旧正月(テト)を境にそれまでを前期、それ以降から6月中旬までを後期とした2学期制が用いられています。
1月に前期の期末テストをして、そのままテト(旧正月)と呼ばれるベトナムのお正月休みにはいります。期間は、1ヶ月弱程度です。
左の写真はテトのイメージ画像ですが、実際、普段はこのような服は着ません(笑)。
日本人は、お正月に旅行に行かれる方もいるかと思いますが、ベトナムでは家族を大切にする考えが強いので、実家に帰省する人が多いです。
テト休みが終わると、後期が始まります。
6月の中旬に期末テストがあり、それが終われば新学期開始まで夏休みとなります。期間は約2ヶ月です。(小学校〜高校の場合、夏休みは3ヶ月弱あります。)
新学期って、日本では4月ですよね?
季節は春で桜が咲く時期なので卒業式や入学式と桜ってセットなイメージあると思います。僕なんかは、桜を見るたび学生時代を思い出しちゃったりします。
調べてみると実はこれ、明治時代に決定された国の会計年度に合わせたからのようで、それまでは日本でも9月が主流だったようです。各国で新学期は様々ですが9月が主流なようですね。
それに、日本でも世界的に主流の「9月入学に戻す」というテーマは中曽根内閣の頃から30年以上議論されたことらしいです。
少子高齢化による人材不足の解消のために、日本企業の外国籍人材を受け入れていく流れは加速してきます。その点を考えると文化的に新卒一括採用を実施する日本企業にとって、学期の区切りを諸外国と同じするということは、合理的であるといえます。
今後も、注目していきたいトピックですね。
<参照>
日本の入学式・新学期はなぜ4月?その理由とメリット・デメリットも解説
ベトナムの大学の数・進学率
ベトナムには、2018年時点で合計237校の大学・短期大学などがあるようです。
日本では大学が、781校(うち86校が国公立)となりますので、その差はとても大きいですね。
最近では、ベトナムでも私立の学校が少しずつ増えてきましたが日本と比べるとまだまだ少ないですね。今後、経済発展が進めばより学校数が増えるものと思われます。
ちなみに、大学の進学率でいえば2019年のデータで、下記となります。
日本:58.1%
ベトナム:28.64%
<参照>
まだまだ、日本と比べるとその差は大きいですね。
GDPなどに代表される経済指標を比べれば、その差もうなずけます。
ベトナムの大学の種類
日本の大学は大きく別けて、国公立と私立の2つにわけられますが、
ベトナムでこれが3つとなり、それぞれ
- 国家大学
- 国立大学
- 私立大学
となります。
国家大学、国立大学の違いについて簡単に説明したいと思います。
これらの大きな違いは、その管轄をする機関、日本でいう省庁です。
国立大学
国立大学は、教育訓練省(MOET)が管轄となります。
このMOETは日本でいう文部科学省であり、大学だけでなく、初等教育の部分からベトナムの教育全体を管轄しています。
ちなみに国立大学の中でも、実は全ての大学が教育訓練省の管轄であるわけではありません。いくつかの大学は、それぞれの専門に類する省庁の管轄になっています。
例)
- National Defense Academy of Vietnam,Military Technical Academy→国防省
- Posts and Telecommunications Institute of Technology(郵政通信大学)→ベトナム郵電公社
- Diplomatic Academy of Vietnam (外交大学)→外務省
- Ha Noi Medical University(ハノイ医科大学)→保健省
- Electric Power University(電力大学)→産業省 電力公社直属
上記は一例で、まだまだ沢山あるんです。
これは各行政機関が幹部養成のための教育機関として設立したことが起源になっています。
国家大学
国家大学は、国立大学と異なり、教育訓練省ではなく政府に属しており、研究費などの面で優遇がされています。
国家大学は、国立大学より優秀 というイメージをお持ちの方がたまにいらっしゃいますが、そういうわけでもございません。
ハノイの例でいえば、工学分野においては、ハノイ工科大学がトップですし(とはいえ、大きな差はないですが)、文系分野のハノイトップ2は共に国家大学です。
ベトナムに国家大学は2校あり、
- ベトナム国家大学ハノイ校
- ベトナム国家大学ホーチミン校
となります。
しかしこの表現も少し混乱を招くかもしれません。
実は、この2校にはそれぞれ複数の傘下大学があり、それら全てが「国家大学」に分類にされるのです。
ちなみに、ハノイ校は、現在時点で12(9つの大学と3つの学部)で構成されており、ホーチミン校は、8つの大学で構成されています。
我々が提携しているベトナム4大学を国家大学・国立大学で分類すると右の図のようになります。
イメージしやすいのは、日本でいえば日本大学です。
日本大学という本部がありますが、各学部が独立して1つの大学として運営されています。
キャンパスも一箇所に集中じゃなく、学部毎に色々と点在してます。
<参照元>
ベトナムの大学における必修科目
ベトナムの大学の特徴的な点が科目にも現れています。
必修科目には「国防教育」「マルクス哲学」「マルクス経済」「社会主義理論」「ベトナム共産党史」「ホーチミン思想」などがあり、日本とは大きく趣が異なります。
各大学で用意されている科目には若干の違いはあれば、上記の科目のいくつかは、どこの大学に入学したとしても履修することになります。
そして最大の特徴は、「軍事訓練」です。
大学生は入学した1年生の段階で、男女全員がこれに参加することになります。
これは〜2週間程度、大学とは別の場所で行われる合宿のようなもので、この期間学生は新色をともにしながら、ほふく前進や、網のロープの下をかいくぐったり、射撃の基本姿勢をしたりします。
終わりに
今回は、日本とベトナムの大学の違いについて、いくつか説明してみました。
他にも色々な違いがございますが、それはまたの機会に紹介させてください。
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それでは、また次の記事でお会いしましょう!