「私たちは日本語教師ですが、日本語だけを教えているつもりはありません。
学生が日本就職をしてからも、【自律】を軸に主体性と自主性を持って働けるように、仕事に対する意識を身につけてもらう授業をしています。」
そう語ってくださったのは、ダナン工科大学(通称DUT)で日本語教師をしている倉知先生です。
Xin chào các bạn(こんにちはみなさん)!Sun*教育事業部の永田です。
今回もご覧いただき、ありがとうございます!
日本語×IT教育で世界中の優秀なIT人材を育成しているSun*教育事業の魅力を余すことなく伝えることをモットーにしているこのコンテンツ。
実際に大学の教育現場で教えている先生の想いをお届けします。
「Sun*の日本語教師ってどんな人がやっているんだろう?」
「大学ごとにどんな取り組みをしているんだろう?」
「日本就職をサポートする教師の想いってなんだろう?」
そんな方にぜひ読んでいただきたい内容です。
(今回インタビューに答えてくださった方)
倉知 礼花(あやか) 先生
高校時代から日本語教師を志し、外国語大学で日本語教育学を専攻
在学中には生の日本語教育に触れるために、1年休学してオーストラリアへ
日本語教師として生きていく決意を再確認し、大学卒業後は青年海外協力隊の日本語教師としてハノイの大学で活動
2年間の任期終了後にSun*に参画
海が大好きで、休みの日にはいつも海を見に行くとか
ベトナムのハワイとも言われるダナンの環境に大満足だそう
倉知先生と日本語教育
ー もともとは青年海外協力隊としてハノイに来たそうですね。
「はい。わたしは青年海外協力隊で活動することが実は夢でした。それも、The発展途上国のような環境での活動をイメージしていました。
派遣先は選べないので、結局ハノイになってしまいましたが(笑)。
ハノイ市内のある大学に派遣されて、日本語教師をすることになりました。実は松ヶ平さんはその大学の先輩なんです。」
*こちらのインタビューで紹介した松ヶ平先生は青年海外協力隊として派遣された訳ではありません。
ー そこで初めて倉知さんとベトナムの繋がりができたんですね。青年海外協力隊としての2年間はどうでしたか。
「はっきり言って、全てがうまくいかなかったです。」
ー もう少し具体的に教えていただけますか。
「青年海外協力隊の目的は技術移転です。
なので、現地のベトナム人の先生たちに日本語教育に関する技術を残さないといけません。
しかし、実際には悔いの残る2年間となってしまいました。
というのも、まず日本語教師として、私自身の力不足が原因でした。
それに、環境的にも他の先生と密に協力して進めることができませんでした。
結果的にお互いが成長できず、何の貢献もできないで終わってしまいました。
本当に悔しい2年間でした。」
ー それでも2年間任期を全うし、その後帰国を選ばなかったのには理由があるんですか。
「協力隊の期間延長はできないので、正直言うと任期が終了したら日本に帰ろうと思っていました。
でも、今日本に帰ったら、ベトナムでのこの2年間がゼロ、むしろマイナスだと思いました。
全然やりたいことがやれなかったこの時間が、触れたくない過去になるし、夢だった協力隊の2年間をなかったことにするのはいやだと思いました。
それで、まだ帰れない。自分が納得するまではベトナムにいよう、と思いました。」
ー 次の就職先探しにあたって、意識したことは同僚教師と協力して成長していける環境ということでしょうか。
「そうですね。実はそのときにちょうどわたしが日本語教育研究会でお世話になった森末先生がSun*に入社して、ダナンで教えることが決まっていたんです。
森末先生はわたしの日本語教育への想いを一番理解してくれていて、ダナンでいっしょに日本語教育をしよう、とSun*を紹介してくれました。」
*森末先生もSun*のキャラクターの強い教師チームの1人です。今後記事にしますので、お楽しみに。
倉知先生とSun*
ーSun*に入社して、倉知先生がやり残したことはやれていますか。
「はい。Sun*では言いたいことが言えるし、やりたいことをやらせてもらえています。
もちろん、そこには責任が伴います。でも、挑戦もできるし、やりなさいということも言われません。
Sun*に入ってよかったと思っています。」
ー 具体的にダナン工科大学で倉知先生やみなさんが挑戦していることはありますか。
「一番大きな挑戦は教科書を変えたことです。
わたしたちはマスターテクストアプローチを採用し、自己表現の活動を中心にした『NEJ』という教科書を使っています。
それに、エビデンスに基づいた研究や教材開発も始めました。」
*マスターテクストアプローチとNEJに関してはこちらを参考に。
ー どんな研究をしているんでしょうか。
「先行研究を参考にして、入学したての新入生の自律性に注目して学習者ビリーフのアンケート調査をしました。
具体的に言うと、教師依存がどの程度あるのか、学習習慣があるのか、などです。
全体的に自律性(自分で学習していく姿勢)は当初の予想よりも高くないという結果でした。
それを踏まえて、学生全体の傾向にあわせた授業設計をしています。
1年後に同様の調査をして、新しい教科書を使うことで学生の自律性がどれだけ成長したかを比較します。
今後も、学生が卒業するまで定期的に実施していきたいです。」
ー たしかに全体的な傾向などがわかれば、それに特化した対策ができそうですね。
「他にも、3年生では日本のIT企業への就職に特化した教材を今作っています。
履歴書の書き方はもちろん、実際の日本のIT企業で起こりうる会話を取り上げた教材が必要だと感じています。
なので、実際に日本のIT企業で勤務していた経験があるIT講師と連携して、日本のIT企業への就職に特化した教材開発をしています。
他にもDUTチームでの挑戦をあげたらキリがないです(笑)。
こんなことはSun*だからこそできることです。」
ー 挑戦できる環境だからこその大変さはありませんか。
「正直に言うとあります。
ダナン工科大学の教師チームでは、みんなで協力して、先ほどのような私たち独自の取り組みをやっています。
でも、先生たちの中でも考え方の違いがあるのは事実です。」
ー チームで協力するという今の状況ならではの悩みですね。そんなとき倉知先生はどうするんですか。
「私はイライラしてる様子を出してしまうことが自分の課題だと思っています。
相手の気持ちをわかっていても、感情的になったり、愚痴を言ってしまうことがあります。
なので、最近は休みの日など時間があればとにかく海に行っています。わたしは海に行ければ幸せなんです。
海が近くにない岐阜県の出身なので、海への憧れがすごくて。
ダナンではわざわざ海の近くに引っ越したくらいです。職場の大学までは遠くなりましたが(笑)。」
ー 長期的な将来の展望はありますか。
「ずっと日本語教師として働くつもりです。
一周回って60代になったら、もう一度協力隊に応募したいです。
今度はThe発展途上国という国に行って、本当に日本語教育に貢献したいです。
それができるだけの力をそれまでに身につけておかないと。今はまだまだです。」
ー 最後に何かメッセージがあればどうぞ。
「私たちは日本語教師ですが、日本語だけを教えているつもりはありません。
学生が日本就職をしてからも、【自律】を軸に主体性と自主性を持って働けるように、仕事に対する意識を身につけてもらう授業をしています。
学生にも意思がしっかりあって、決して能力が低いわけではありません。
ただ、日本語力が足かせになっているのは事実です。
日本語教育の視点で私たち教師も企業様に協力できることはしたいです。
学生と企業様でお互い分かり合えない部分も少なからずあると思うので、そこは私たち日本語教師がプロとしてサポートできることもあると思います。」
終わりに
今回はダナン工科大学の倉知先生のインタビューでした。
挑戦を通して教師自身も成長を続け、学生の育成にコミットする。そんな熱い先生チームの1人です。
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それでは次回の更新をお楽しみに。Hẹn gặp lại nhé!(また今度)