一流の組込み系エンジニアはここから生まれる!SET学部の日本語授業とは?

Xin chào các bạn(こんにちはみなさん)!Sun*教育事業部の大原です。
今回もご覧いただき、ありがとうございます!
以前ご紹介した組み込み系エンジニアを目指す電気通信学部(通称:SET)について覚えていらっしゃるでしょうか。

このSET内に新設された組込み系エンジニアを目指すSESIコースは2019年に開始され、現在2期目となる2年生が約40名、そして2020年に入学した1年生60人の日本語教育を弊社で担当しております。
SET学部の具体的な授業内容に関して説明していなかったので、入学して約4ヶ月が経った1年生の授業の様子を今回はお届けします。
今回の記事で以下のような内容を理解していただけます。

  • SET学部とIT学部の日本語授業の違いとは
  • SET学部の授業を担当する教師が授業で重要視しているポイントとは

ぜひ最後までご覧ください。

SETの日本語授業の特徴

授業時間:1クラス90分
総授業数:1学期で110時間程度
1クラスあたりの人数:20人程度
教科書:日本語初級大地

授業時間と学期内の総授業数はIT学部のHEDSPIと同じで、1年生は平日の5日間、毎日90分日本語の授業に参加します。なかなかハードですね(汗)。
IT学部との違いでいえば、1クラスあたりの人数と教科書でしょうか。
というのもHEDSPIは1クラス25人以上いるものの、SETでは1クラス20人程度で運営しています。
また、HEDSPIとは違う棟で授業をしているため、教室も狭く学生と教師の距離も自然と近くなります。

教科書は日本語教育である意味定番となっている「みんなの日本語」は使用していません。かわりに「日本語初級大地」という教科書を使っています。
この教科書はいろいろ特徴があるのですが、実際に使用している教師に話を聞いてみました。

  • イラストが多い
    ➡︎文字ばかりの本に比べて、学生が飽きにくい
    ➡︎ターゲットになっている文型や言葉の使い方、使う場面が理解できる
  • 実践的なタスクも含まれている
    ➡︎インタビュータスクなどの活動は授業に変化が作れるので、学生が飽きにくい
    ➡︎会話の穴埋めタスクは、相手の返答によって会話の展開を変える必要があるので、より現実場面に即した内容になっている ただ覚えてリピートするだけではない
    ➡︎日本語力だけではなく、コミュニケーションの練習になる
  • 学ぶ語彙が「みんなの日本語」に比べると新しい
    ➡︎日本で実際に使いやすい(ラッシュアワー、バイキングなど)

ただし、前提としてこの教科書を使えば完璧!という魔法のような教科書は当然ながらありません。また、「みんなの日本語」も定番になっているからには、やはりそれなりの理由があるので、全ての教科書が一長一短であるのは事実です。
しかし、今回授業を見学させていただいたタオ先生いわく、
「学生が日本就職のために必要な日本語力は自分で考え、周りの意見も聞き、発信していける力。どうすればその力を身につけてもらえるだろう?と考えた末、新しい教科書を使うことにチャレンジしました。」とのことでした。
新しい教科書を使うということは、教師にとってもテスト作成や授業準備などで大変なことが増えるのは事実です。
ですが、学生のために一番いい方法を探るという一つの手段で、新しい教科書を使っています。

SETの学生たち

学生たちは先述したとおり1クラスに20名程度しかおらず、人数の少なさと距離感の近さもあってみんな仲良く授業に取り組んでいました。
補足ですが、もちろんHEDSPIの学生や教師も和気あいあいと授業に取り組んでいますよ(笑)。
教科書の特徴として実践的な会話練習も豊富にあるので、表現を入れ替えたり、穴埋めの会話を使ったペアワークやグループでの活動が印象的でした。

今までの記事で、学生たちがプレゼンテーションなどの発表をしている様子をお届けしてきました。
このSETでも活動の一環として、ターゲットである第7課の形容詞を使って、学生たちが会話を自分で考え、前で発表していました。
ちなみに第7課というと、初級の初級で英検5級の一歩手前くらいのレベルです。
日本人にとっては当たり前すぎて逆にイメージができないかもしれませんが、この課のターゲットである形容詞を使うと、表現がより具体的になり、伝えられるメッセージが多くなります。

例)今日は暑いですから、冷たいお茶をのみませんか。

例)あそこにおいしいレストランがあります。

これらの形容詞を使って、情報を具体的に膨らませながら意味のある会話を考えます。

このグループは旅行の計画について話していました。
おいしいベトナム料理のレストランへ行きます。おいしいご飯を食べます。
それから、有名な町へ行きませんか。おもしろいところへ行きます。
夜、静かなホテルで寝ます。etc.
これらの内容を会話に織り込み、グループで計画を立てている場面の会話練習でした。
まだまだ初級レベルなので本当に簡単な内容のように思えてしまいますが、抽象から具体、そしてコミュニケーションの本質である伝えたいメッセージを自分の言葉で懸命に伝える。

その様子から、内定者やすでに日本就職を果たした学生たちとも関わる機会がある私は、彼らの将来の姿をイメージしていました。
きっと彼らは技術力だけではなく、コミュニケーション力も活かし、日本やベトナムで活躍する存在になるだろうと。
学生は写真のとおり笑顔で楽しそうに話していたので、私が1人しみじみと彼らの将来像に期待を馳せていたなんで、知る由も無いでしょう(笑)。

担当教師は何を考える?

授業に関して、SETを担当しているタオ先生に授業で意識している点についてお話を聞きました。
数ある中で、2点を教師の実践としてみなさんにお伝えします。


「学生が堂々と話せるように、細かいミスと大きいミスを区別して、適切なフィードバックをしています。」
ここでいう細かいミスとは、意思疎通に問題がないもので、ローカルエラーと呼ばれます。逆に、意思疎通に支障をきたすようなものはグローバルエラーと呼ばれます。どのミスをどのタイミングで指摘するのか、教師として判断が求められます。というのも、ローカルエラーを全て指摘していては、やはり学生のやる気もそがれ、自信を失ってしまいます。
逆にグローバルエラーを指摘しなければ、教えた文型の定着ができず、ターゲット内容が習得できないので結果的に学生が将来困ってしまいます。


タオ先生は、自身が日本語を学んできた経験や学生のレベルを判断し、適切なフィードバックをしているとのことです。


「1対1だけではなく、グループでのコミュニケーションのチャンスも与えることで、今後実践していくプレゼンテーションなどにも対応できる力をつけさせたい。そのためには、自信を持って堂々と話せるようになってほしい」
日本語の授業でも、実践IT授業でも大勢の人の前で日本語で話す機会があります。そのときに必要なのは、間違いのない正しい日本語を話すスキルではありません。伝えたい思いを言葉にのせ、堂々と振る舞い、相手の反応を見ながら話すスキルです。
ただし、こういったスキルは一朝一夕では身につきません。これもやはり経験あるのみ。そのための雰囲気作りや、「伝えたい」と思わせるような活動を常に同僚教師と意見交換しながら考えているそうです。

終わりに

今回はSETの1年生の授業についてお届けしました。
まだまだできて日が浅いSESIコースですが、いい意味でHEDSPIと競い合って、お互いに切磋琢磨しています。今後の成長が楽しみですね。


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それでは次回の更新をお楽しみに。Hẹn gặp lại nhé!(また今度)

ABOUT US
大原歩美
幼少期から海外に興味を持ち、カナダ、フランス、オーストラリア、イランで生活する。 日本ではヨガスタジオのエリアマネージャー、留学カウンセラー、東証一部上場企業の社長秘書など多岐にわたる職業に従事。 脱公務員で現地企業に就職した夫、3歳の息子とともに2021年からベトナム生活を開始。 将来の目標は世界遺産全制覇。