【外国人エンジニアの採用】JLPTとは?日本語レベルはどれくらい必要?

Xin chào các bạn(こんにちはみなさん)!Sun*教育事業部の大原です。
今回もご覧いただき、ありがとうございます!

「外国人エンジニアを採用する上で、日本語レベルはどれくらい必要ですか?」
こういった質問を受けることが多いですが、結論として、
「JLPTだとN2、N3レベルです」とお伝えしています。

私たちSun*の採用選考プラットフォーム「xseeds Hub」では、海外の理系トップ大学で選抜された学生を対象に、独自のカリキュラムでITエンジニアを育成しています。そして、学生の日本企業への就職と、受け入れ先企業様の採用活動のサポートを行っています。
xseeds Hub参加企業様からよくある質問の一つが、冒頭に書いたような学生の日本語レベルに関することです。
答えとしてJLPT(日本語能力試験)の級で例えることが多いですが、イメージがなかなか掴めない方もいらっしゃるかもしれません。
実際に日本で働くためには日本語力は必要不可欠です。

今回は、

  • JLPTって何?
  • 級別の日本語実践レベルはどれくらい?
  • Sun*の日本語教育を受けた学生はどのくらいのレベル?
  • xseeds Hub参加企業様が求める日本語レベルは?

そんな疑問をお持ちの方にぜひ読んでいただきたい記事です。

JLPT(日本語能力試験)とは?

JLPTは、独立行政法人国際交流基金と公益財団法人日本国際教育支援協会が共催している、日本語を母語としない人たちの日本語能力を測定し認定する試験です。
JLPTにはN1、N2、N3、N4、N5の5レベルがあり、もっとも難易度が高いものがN1です。
級別の認定の目安についてはこちらをご参照ください。
日本語能力試験 N1~N5:認定の目安

必要学習時間の目安や語彙数に関しては、2010年に試験内容が改定されてからは具体的には公表されていません。
なので、実際に現場で働いているSun*の日本語教師に経験上の目安を聞いてみました。

現在の級旧試験の級語彙数漢字数学習時間の目安
N11級10,0002,000900時間
N22級6,0001,000600時間
N32級と3級の間1,500300300時間

JLPTでは、語彙、文法、読解、聴解の4つの知識を測る試験です。
ここで注目しなければいけないことは、JLPTは「聞く、読む」という技能に特化しているということです。
一般的に言語は「聞く、読む、話す、書く」の4つの技能に分かれていますが、JLPTでは「話す、書く」に関しては問われません。
つまり、仕事や面接時によく行われる会話(=話す)はJLPTだけでは判断が難しいということなります。
「話す」に関してはまた別で会話能力テストも設けられており、これはまたの機会に紹介したいと思います。

級別の日本語実践レベル

現在Sun*が日本語教育を行っている主な大学・コースの卒業要件としてはN3としているところが多くあります。
一方で、日本企業が求める日本語レベルはN2としている場合が多数を占めます。
JLPTの級別レベルはすでにお伝えしていますが、では、実践レベルとしてはどうなのでしょうか?ここでいう実践レベルとは、日本語での会話力(話す力)という意味で説明します。
具体的な例を挙げてみます。

N3レベル

理解できること

→日本語教師の話。
 日本語教師は、教科書で使われる日本語を理解して学生に話しかけることができるため、学生は理解しやすいです。

 例)〇「あなたのふるさとはどちらですか?」
   ※HUSTで使用している日本語の教科書では「ふるさと」という表現を用いています。
   ✕「あなたの出身はどちらですか?」

難しいこと

→ネイティブスピーカーとの通常の速さでの会話

 例)〇「(ゆっくり)なぜこの会社で働きたいですか?」
   ✕「(早口で)志望動機や取り組みたい業務内容を教えてください。」
   ※普段使用しない言葉や言い回しを早口で話すと伝わりにくいです。

N2レベル

理解できること

→NEWS WEB EASY(https://www3.nhk.or.jp/news/easy/)の容易な理解
→日常レベルの会話
→ビジネスでの挨拶

 例)〇外国人を対象として優しい日本語で書かれたニュース
   ✕ 日本人読者を対象として書かれたニュース

難しいこと

→議事録作成
→社内・社外向けプレゼン資料の作成
→口頭での説明からの仕様策定

例)〇「(取引先との挨拶として)この度はお越しいただきありがとうございます。」
  ✕「いただいた資料についてプレゼンをお願いできますか?」
  ※想定されるビジネス上の会話は可能ですが、プレゼンは難易度が高いです。

N2レベルとなると、日本での日常生活で出てくる言葉を使ったやりとりは問題ないと言えます。
ですが、先ほども書いた通り、JLPTと会話能力は異なるのでN3の知識レベルでもスムーズに話せる学生もいれば、N2の知識を持っていてもなかなかスムーズに話しが進まない学生がいます。
私も実際に学生と話しをしていてこのようなことは感じることがあります。Sun*の日本語授業ではJLPTの知識習得は別で会話能力にも非常に力を入れているのでN3でも会話がスムーズにできるなと感じることがあります。
一方で日本語センターなどで日本語を勉強しN2を取得した方と話したことがありますが、うまく会話でのコミュニケーションは出来なかった覚えがあります。

ここで重要なことは、語彙の運用能力と思考の深さは異なるということです。
先ほどの例にもあげたとおり、
「なぜこの会社で働きたいですか?」という表現、日本人なら「志望動機や取り組みたい業務内容を教えてください。」の表現の方が知的に感じますよね。
しかし、彼らも実際には母国語であればすごく知的に感じるように話すことができるわけです。
つまり、思考の深さを本当に測りたい場合は日本語ではなく母国語で確認するといったことも必要になります。
その具体的な方法については、これもまた別の記事でお伝えいたします。

Sun*の日本語教育における授業数

Sun*が教育事業を提供している大学のひとつ、ハノイ工科大学(HUST)のHEDSPIコースを例にあげると、4年間で624時間の一般日本語授業を学んでいます。
学生がメインで学んでいるものはITですが、それに加えてこれだけの日本語教育を受けるということは学生にとっても相当な努力が必要です。
HUSTの卒業要件としてN3相当の日本語力が必要とされているため、学生は必死に勉強しています。
また、ベトナム国家大学ハノイ校のHEDSPIコースの学生は、卒業要件としてN2取得が必須となっています。
ベトナムにある文系大学の日本語学科でも、卒業要件は大多数がN2取得やN2相当レベルとなっています。
いかにHEDSPIコースの学生たちが主専攻であるITを勉強しながら日本語を学ぶことが大変か伝わるのではないでしょうか。

取材などで、私自身HUSTやVNUの一般日本語の授業を見学することもありますが、そこで感じるのは、「ベトナム理系トップ大学の学生は、元々頭がいい」ということです。専攻しているITのみならず、日本語やその他の授業に取り組めるということは、それだけ地頭がいい証拠だと思います。
私も地頭が良ければ…(笑)

xseeds Hub参加企業様が求める日本語レベル

xseed Hub選考会時点でのレベル

xseeds Hub選考会では、大学3年生の学生が対象です。そのため、想定レベルとしては、JLPTのN3が全体の3分の1、それ以外(未取得やN4以下)が3分の2となります。
中には、3年生時点でN2を取得している強者もいます。
日本語を学び始めてから約2年ということで、面接時点では日本語での意思疎通が難しい学生もいますが、通訳(Sun*の手配)を介して行うため言葉の問題はありません。

企業様も卒業までにまだ1~2年ほどあるとご理解いただき、今後日本語力が伸びることを前提に考えてくださっているため、面接では日本語力よりも学生のIT能力や思考力などを中心に評価いただく場合が多いです。
ですが、日本語で頑張って話そうとする学生や、自己紹介プレゼンや成果物プレゼンなど事前に日本語のスライドなどを準備する学生もたくさんいます。
簡単な日本語でアイスブレイクをすることで、素の部分や日本就職への熱い気持ちが伝わるのではないかと思います。

入社時点でのレベル

こちらはばらつきがありますが、内定先企業様の希望による部分があります。
企業様が入社時点でN2レベルを必要とする場合は、卒業までに取得できるようにSun*としてもサポートしております。
例えば、内定者向けの夏期講習、会社でよく使われる会話表現の練習も実施しています。
また、私たちから入社後に企業様にもお願いしていることがあります。
例えば、以下のようなものです。

  • 社内で日本語講座の開催
  • 上長との1on1トーク
  • チームでの週1回のフリートーク

やはり、実際の業務に入ってからも積極的に日本語を使う環境づくりが大切です。
その結果、「よく質問してくれるようになった」「積極的に話すようになった」などのお話を伺っており、人間関係の構築によって日本語力の向上につながったという企業様が多い印象です。
日本語をアウトプットする機会が増えることで会話力が向上したと言えますね!
また学生側も、入社後に引き続き自主学習を続けることで、日本語力が向上しています。
入社後のフォローにつきましても、サポート体制を組んでおります。それについては近々別の記事で紹介したいと思います。

以前ECC様との共同セミナーを行った際にも、「外国人材と働く時に必要なスキル」についてお伝えしましたが、受け入れ先企業側としても書いて伝えるだったり復唱させるなど、その場で理解させることはもちろん、ちょっとした工夫をすることで日本語力向上に繋げることも可能です。

終わりに

いかがでしたでしょうか。
今回は、JLPTそして外国人エンジニアの日本語力についてお伝えしました。
大学時代にITの実践的な能力のみならず日本語力をつけることによって、日本就職時に即戦力になることができます!
そんな優秀な学生の日本就職という目標のサポートができることを、Sun*教育事業部としてとても嬉しく思っています。
学生が日本での生活、仕事で少しでも円滑なコミュニケーションを取れるように、また、xseeds Hubを通して外国人エンジニアの採用を検討されている企業様が少しでも安心して採用活動に取り組めるように、これからも精一杯サポートさせていただきます!

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ABOUT US
大原歩美
幼少期から海外に興味を持ち、カナダ、フランス、オーストラリア、イランで生活する。 日本ではヨガスタジオのエリアマネージャー、留学カウンセラー、東証一部上場企業の社長秘書など多岐にわたる職業に従事。 脱公務員で現地企業に就職した夫、3歳の息子とともに2021年からベトナム生活を開始。 将来の目標は世界遺産全制覇。