アフリカ人人材の可能性を探る!トライアルコース続編

はじめに

Xin chào các bạn(こんにちはみなさん)!Sun*教育事業部の茂木です。今回もご覧いただき、ありがとうございます!
前回の記事ではケニアでトライアルコースの教育事業をすることをお伝えしました。
(前回の記事)アフリカ進出!ケニア国内トップランクの大学でトライアルコース開始!

そして昨年の12月に実際に現地で成果発表会が行なわれました。引き続きアフリカ事業責任者の広瀬光氏にアフリカ事業の様子をうかがいました。
大注目のアフリカがどのような国だったのか、是非最後までお読みください!

(今回インタビューに協力していただいた方)


広瀬 光(ひかる)氏


大学を卒業後、日本のIT企業へ就職しデジタルマーケティング事業に従事。
その後、社会課題解決に挑戦したい想いを抱きアフリカへ渡り、モザンビークの事業会社で現地法人の代表となる。
2021年、途上国/新興国へ教育を届ける活動を目指してSun*の教育事業(xseeds)に参画し、Sales企画や大学開拓などのミッションを担っている。

大学のトライアルコースについて

アフリカ人学生さんたちの習熟度・やる気はいかがでしたか?

結論としてはすごく良かったです。
今回のコースでの学習習熟度やモチベーションについては、同じようなプログラムを過去実施したベトナム学生と比較しても、比較的高い結果が得られました。

ここでケニアの学生と比較しているベトナムの学生について触れておきますが、ベトナム国内トップレベルのハノイ工科大学の学生を比較対象にしています。ベトナムは元々理数系教育に注力している国でもあり、国際数学オリンピックでは、近年日本よりも上位を獲得する傾向が続くような国です。そのような国の最高学府で学ぶ学生さんたちと比較しても、それより高い結果が得られたのは良い成果でした唯一、出席率についてはベトナムより低い結果になってしまいました。しかし、ケニアの場合は完全オンラインで実施し、もちろん講師の方とも初対面、さらに複数の異なる大学の学生が一緒のクラスを受講していたという要因もあります。そのため、出席率はもっと下がるかと予想していたくらいなので、意外に76%とそこまで低くない数値には驚きました。

ベトナム事業と比較したグラフ

ベトナムとほぼ同じ内容の最終テストで見ても正答率は10%以上高かったのでスキルも高いのかなと思います。成果成績取得率はグループワークでのプレゼンの内容で先生方に項目ごとに判断してもらったのですが、その平均も高かったんです。今回R&Dの先生にも一緒にケニアに行ってもらいましたが、その先生の学生に対する評価も非常に高かったです。
印象的だったのは、2~3時間に渡るプレゼンが終わったあとに学生さんが列をなしてR&Dの先生に質問攻めをしていたことです。正直、今回のコースは最終プレゼン発表をもって終了となるため、今後の評価には一切関係がありません。それにもかかわらず、プレゼン内容についての改善点や技術的・専門的なフィードバックを求めたりしていました。例えば、「今回のプレゼンに用いたアルゴリズムを他のロジックで代替したいが10個しか思いつかなかった」という学生に対し、「実は俯瞰してみると200個ほどのアルゴリズム候補が考えられる」という講師からの回答に対して、新たな気づきにキラキラした目で「もっと頑張ります!」という学生を見ました。ケニアの学生の熱意と勉強への情熱を感じた瞬間でした。

学生さんはこのトライアルコースについてどんな思いを持っていましたか?

学生の発表を見守る来賓の方々

アンケートをとったのですが、全員がこのトライアルコースの内容は実践的で将来に役立つと回答してくれていました。受講した学生全員が、将来的に⼤学でSun* のコースが提供される場合、受講に興味があると回答してくれました。普段の大学の授業で抱えている課題を聞いた時に授業の内容が座学メインで実践的ではないという話が多かったんです。Sun*の場合は開発経験とかもあるし、就職につなげたりもしているので、実際の現場である企業の採用担当者とか実際の開発現場のエンジニアさんが欲しいと思えるしゃべり方とか開発に関するコミュニケーションの取り方とか、より実践的なものを提供できます。なので学生さんにとっても面白くて興味を持ってもらえる内容だったのかなと思います。

講師にもすごく満足してくれていて、質問に対しても熱心に答えてくれてどうすればより良いものになるかを示してくれて感謝しているという感想をもらいました。
今回の渡航でも明らかになったことですが、ケニアの各大学には既に企業とのコラボ型の授業があったりします。MicrosoftやIBM、Ciscoなどの超大手グローバル企業ばかりでしたが、例えばExcelなどのCertificationを取得するためだけの講座であったり、割とベーシックな内容が多いと感じました。私たちは学生さんにとってもメリットがある授業を提供できたんじゃないかなと思っています。

大学側の反応はいかがでしたか?

4つの大学を回りましたが、良い反応をもらいました。
ちょっとびっくりしたのが、総合でもコンピューターサイエンスでも、両方でトップ大学と言われているナイロビ国立大学からMOUを結ばせてくれと言われたんです。実はこの大学、最初に授業の内容とか仕組みを説明に行ったときはちょっと斜に構えてて。あまり学生さんへの告知もしてくれなかったので参加する学生は2人と少なかったんです(汗)でもやっぱりとても優秀で、この大学の学生さんが優勝したんです。今回大学とまた話をしたら、告知をしなかったことを悔やんでいて、もっと学生を参加させたかったと言ってくれていました。

アフリカ事業の今後

教育事業を始めるには予算がないとできないので、今年はそれを探していく年にします。それと同時進行で、今回の結果をもとに、ケニアの学生さんにとってどういうカリキュラムが良いものなのかを詰めていく予定です。予算の面では、JICAのプロジェクトに応募したり、経産省の今回と同じようなプロジェクトがあった場合にいつでも動けるように準備していきます。今回もそうでしたが、アフリカの経験や知見が無いので、私たちだけの力では教育事業はできませんでした。デロイトさんには本当に感謝していますし、もし次のプロジェクトに応募するときにも彼らと一緒に取りに行くことが出来たら嬉しいなと思っています。

最終発表の様子

日本企業からのニーズ、評価はいかがですか?

このトライアルコースはカリキュラムを提供して学生さんの実力を探るところまでがゴールだったんですが、もう一つのゴールとして日本の企業さんがケニアの学生さんを採用したいと思えるかフィードバックをもらって確かめることもあったんです。
参加した学生さんにはSun*のSCP(採用支援プラットフォームに情報をいれてもらうようにしました。資格、表彰歴、どういう技術を学んでいるか、学生時代に頑張ったことや、今回の成果物を見ていただいて、企業さんにフィードバックをいただきました。日本語を習得していることを仮定しての評価ですが、興味があり一次面接で話を聞きたいレベルという学生が半数以上いました。即戦力になりそう、知識も獲得し続けており、優秀でリーダーシップもありそう等のご意見をいただきました。

このトライアルコースを終えて、アフリカについての気持ちをお聞かせください。

最終発表を終えて講師陣と撮影

今回の渡航はケニアに照準を絞っていましたが、アフリカのポテンシャルを凄くポジティブに感じられる良い機会となりました。やはり、今後のマクロ環境の視点に立って考えても、アフリカという大陸は外せない場所になると確信しました。
一方で、Sun*は世界平和というビジョンを明確に掲げていますが、貧困国が多く、絶対的に教育の提供ボリュームも足りていないアフリカで、私たちが頑張る意義は十分にあると思っています。
アフリカという土地を俯瞰してみると、社会的・文化的課題が複雑多岐に渡っている国々でもありますが、今後の人口ボーナスというマーケットポテンシャルがあり、そして何よりワクワクを感じられる素敵な土地だと思っています。

今回、ケニア出張には私含めてSun*からは3人で渡航しましたが、同行した2名は初めてのアフリカで、これからの可能性やケニアの土地に圧倒されて感動していました。地道にSun*社内にもこの感動のループを拡げて行けたらと思っています。
教育事業としての観点で考えると、今の私たちの事業は日本語とITを学んで日本で働くというのが前提ですが、日本のプレゼンスが下がっている今、日本以外の学生にとってのキャリアプランも模索していかなくてはならないというのがあります。現在の想定としては英語でカリキュラムを作って、英語人材として日本以外の外資系企業や他国のIT企業に繋げていくという道があるかなと思っています。ケニアでのこの実証実験はそのための布石になればいいなと思って今回行ってきましたが、ポテンシャルは十分に感じたので、我々がこれまで主軸にしてきた日本就職を前提とした教育事業とは全然違う世界観を作っていけたらいいなという想いがあります。

日本語と英語の二本立てというのもSun*の強みになりますね!

ケニアの学生さんは今回の結果でも分かりましたが、優秀です。それを分かっているのでIBM、マイクロソフト、グーグル等の世界的な企業もアフリカにどんどん進出しています。ただ彼らの中で課題が二つあって、一つは新卒の学生さんの募集に対して何百人という人が集まってきてその中から選ぶのが大変なんです。学生さんも有象無象が集まってくる(笑)
もう一つは彼らはソフトスキルやチーム開発のスキルが乏しい、という課題感も挙げていらっしゃいました。Googleと世界銀行が出したレポートでは、アフリカ大陸全体でみても開発者の数が70万人ほどと言われていて、圧倒的に人数が少ないため、一人で自学習を頑張っている学生が多い印象です。チームでひとつのプロダクトを作るという経験が不足しがちなのです。この二つの課題を何とかしていけるようにぼくらがやっていきたいと思っています。

参考資料:Understanding Africa’s $180 billion internet economy future

終わりに

いかがでしたか?今回はアフリカトライアルコースについてお届けしました。アフリカ人学生の優秀さやその熱意が少しでもお伝えできていれば幸いです。
私たちは今までも様々な国の学生さんがより良いIT教育を受けることができるよう教育を提供してきました。今後も世界と日本の未来を見据え、可能性を模索しながら教育事業を続けてまいります。
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それでは次回の更新をお楽しみに。Hẹn gặp lại nhé!(また今度)