日本人とベトナム人の就職活動の違いとは?それぞれの就職観の違いに焦点を当ててみました!

はじめに

Xin chào các bạn(こんにちはみなさん)!Sun*教育事業部の茂木です。今回もご覧いただき、ありがとうございます!

今回は日本人学生とベトナム人学生の就職観の違いについてお送りしたいと思います。日系企業でベトナム人と日本人が一緒に働くとき、働き方に違いを感じたことがある人は多いのではないでしょうか?日本人同士でも考え方の違いを感じることが少なくないのに、文化の違う外国人同士が一緒に働くとなるとより大きな違いが出てくるのは当たり前だと思います。
実際にxseeds事業に関わってくださる日本企業の方からもよく文化の違いなどについて質問をいただくことがあります。職場の人間関係は働く上で大変重要なものであり、これは文化の違いや考え方の違いなしでは語れないと思います。

今回はベトナムと日本の就職観の違いに触れ、お互いが理解し合える関係を築けるように、また日本企業がベトナム人学生を採用する時にお役立ていただけるような内容をお届けしたいと思います!

新卒における就職観の違い

日本は一括採用、ベトナムは通年採用

まず大きな違いとしては、採用方法です。日本は大学在学中に就職活動が始まりますが、ベトナムは一般的に、大学を卒業し卒業証明書をもらってから就職活動が始まります。

最近では日本においてもは転職をする人も増えてきましたが、まだ新卒一括採用のメンバーシップ型の文化が強く根付いています。メンバーシップ型採用では長期的に人材育成を行うため、採用時に具体的な部署や仕事内容は決まっておらず、採用後はその企業の様々な部署を経験しながら働きます。このような採用方法は日本の製造業において、匠の技術を手に入れるのには数十年かかるという、日本独自の文化が影響していると言えます。終身雇用制度もこういった考え方が基本にあると考えています。

一方でベトナムは転職が当たり前の文化です。企業も通年で採用をしているので、学生は大学在学中は学業に専念し、卒業後に自分のスキルを活かせる職場を探します。ベトナムでは、日本の製造業のように長い時間をかけて産業を発展させてきたという経験がないため、今、自分はどんなスキルを磨きたいか、という自分主体で仕事を考えることが強いです。
これはベトナムの大学制度にも関係しています。ベトナムは総合大学よりも専門大学のような形が多いので、高校生の時に自分のスキルを磨きたいものや、将来なりたいものを決めて大学に進む仕組みがあり、この考え方がそのまま就職活動に活かされていきます。

そのため、ベトナム企業の採用時には明確な業務内容、責任範囲、必要なスキルが提示されており、さらに勤務時間や勤務場所なども明確にされています。これはジョブ型採用と呼ばれ、海外では一般的な採用方法です。

Sun*が作成している海外の学生を採用するときに記載する求人情報の入力例

この違いを知っておくことで求人情報の内容を工夫することができます。
ベトナム人が就職先を選ぶ際は具体的な業務内容が明示されていることが一般的であり、ベトナム人が気にするのは業務内容や待遇面です。しかし日本企業は「総合職」などのように業務内容を曖昧にしがちです。
これは先述したように、メンバーシップ型採用の考え方からくるものです。ただし、この曖昧な表現がベトナムでは「よくわからない」と判断されてしまい、結果、優秀なベトナム人が他社を選んでしまうことが発生します。
そのため、業務内容や待遇はできるだけ細かく書くことが大事になってきます。

参考:マイナビ「自分の仕事しかしない」問題の処方箋

日本はプロセスが厳格、ベトナムは比較的簡素

次に採用までの流れの違いについてです。

日本の就職活動の流れ

日本企業に就職したいと思ったら、内定をとるまでに多くのプロセスが必要になり、さらにそれぞれに多くの時間を費やします。
自己分析では学生はこれまでの自分を振り返り、自分と向き合う作業を行います。そして、希望する企業がどんな企業なのか分析をします。これを踏まえて、志望動機、自己PR、長所と短所をエントリーシートに記載します。
エントリーして通過したあとは、筆記試験や面接に進みます。
この筆記試験では語彙力や計算力のみならず、性格適性検査などがあり、その対策も行う必要があります。
学生たちは大学内にあるキャリアセンターや就職支援センターという部署で専門家に将来どのような職業に就きたいか、そのためにはどのような就職活動をすれば良いかを相談しサポートを受けながら対策を行います。

ベトナムの就職活動の流れ

ベトナムで就職先を探すときには、学生が企業に直接連絡をしたり先輩経由で就職先に連絡をとります。企業の面接ではソフトスキルやマインドセットは見られず、今持っている技術や日本語のレベルや英語のレベルが重視されます。自己分析や企業分析はしません。企業も学生も、求人内容と学生のスキルが合致しているかを重視します。日本と比べるととてもシンプルです。
しかしこの就職活動は自分主体でやらなければならず、学生によって内定が早めに決まるかどうかが変わってきます。
また、ベトナムの就職活動は応募から内定まで非常に短い期間で行われます。
日本では数ヶ月かけて内定まで実施する企業が多いですが、ベトナムの場合は、1週間以内で実施されることが一般的です。
もし、日本企業のように「慎重に検討している」と、候補者側はすぐに他の会社で内定をとり、そちらに行ってしまうことなども発生するため、スピード感を持つことが重要になります。

このように、日本では自己分析や企業分析をしていることが当たり前で、人生観や仕事観に触れて面接が行なわれるのが特徴の一つなので、日本就職を目指すベトナム人学生はそこに大きなギャップがズレがあることになります。

ベトナム人はどう思うのか

ではこの就職観の違いについてベトナム人はどう考えているのでしょうか。Sun*のTCスタッフと、内定者の学生さんにインタビューをしてきました!

グエン・ティ・バオ・ゴックさん

日本の就職活動をどう思いますか?
「日本の就職活動は特徴的だと思います。ベトナム人は企業について知り合いに聞いたりして情報を得ることが多いですが、日本では資料を使ったり調べたりして企業を分析するところから始まります。また自己分析も行います。
日本の就活の特徴である自己分析や企業分析には大変な時間がかかりますが、xseeds Hubのベトナム人学生がやっているのを身近で見ていて大きなスキルアップになっていると強く感じます。自分の性格を知り、どんな仕事をしたら自分を発展させられるかについて理解できたり、これからどんなことを身につけなければならないかが分かった学生が多くいます。

TCの内定Beforeチームで働いているゴックさん

日本の就職活動で身につく分析力は学生が今後どこに就職するときも力になると思います。家族の事情で日本に行けない学生などもいますが、このスキルを身につけられたらベトナムで就職するときもすごく役立ちます。ベトナムの企業で自己分析や企業分析能力がある人は少ないんです。また、この分析力を高校生の時に身につけることができれば、大学を選ぶときにも役立ちます。」

ベトナムの就職活動をどう思いますか?
「良いところは、就職活動にかける時間が少ないので、学生は学業に専念できます。また、学生時代にしかできないこと、サークル活動やクラブ活動に参加をしたり、旅行をしたり、インターンシップに参加することもできます。
その反面、ベトナムの就職活動は自分で考えて動く必要があるので自発的な力は身に付きますが、学生の能力によって結果が違ってしまいます。とても積極的な学生であれば就職先をすぐ決められますが、そうではない学生は卒業後1年たっても内定が出ていない学生もいます。また、自己分析をしていないので今後自分がどんなスキルを身につけなければいけないかを把握できる人も少ないんです。
xseedsで日本の就職活動を知り、自己分析や企業分析はベトナムでも取り入れていくべきだと思いました。

チャン・ティ・ニュー・クインさん

日本企業に就職が決まったクインさん(中央)

日本の就職活動をどう思いますか?
「私は日本企業の面接に挑むまで、一年かけて準備をしました。日本企業は『今までで一番頑張ったことは何ですか?』など、今までの自分を振り返る必要がある質問が多くあります。自分を振り返り、ソフトスキルや技術など自分が持っている力を見つけることもそうですが、自分が苦手なことを認識するのは大変でしたし苦しい作業でした。でも自分を新しく知ることができました。今後の自分の課題も知ることができました。
就職活動だけでなく、これからのスキルアップにつながります。ベトナムでは学生が自分を振り返ることはありません。日本の就職活動では結果も大事ですが、そこに至るまでの過程を大切にしているのかなと感じました。

企業分析も含め、面接の準備にもかなり時間をかけましたし、面接自体の時間も長かったので少し大変でした。でも時間を使うことでこの企業の文化に自分は合っているのか、合わせられるのかを確認することができました。日本の就職活動は時間がかかりかなり大変ですが、良いものだと感じています。」

ベトナムの就職活動をどう思いますか?
「ベトナムの採用までの道のりは短いです。また、日本企業ではグループディスカッションや適正検査がありますが、ベトナムは持っている技術の確認が主です。
良いところは、技術の確認をされるので自分が 今までやってきたことや自分の能力を100%その企業にアピールをすることができ、その企業で発揮することができるところです。ただ、私たちは学生なので、経験がなく、能力のレベルもまだまだです。新卒で技術を持っているかという質問に対して答えることが難しいので、新卒での就職活動には難しさを感じます。
また、就職活動は自分が積極的にやらなくてはならないので友達を見ていると大変そうでした。新卒では経験が無いことを理由に希望する企業で働けない人が多いのですが、ベトナムは今スタートアップが多く、そこでは優秀な人しか採用されないのでインターンシップのチャンスも少なく、就職活動はかなり難しいと言っていました。
私はxseeds Hubで日本のように就職の対策など手厚くサポートをしてもらえたので、自分が何をすれば良いのかが明確に分かりました。先輩交流会などもあり、日本で働いているたくさんの先輩方のおかげで組織的な話も聞くことができました。」

ゴックさん、クインさん、インタビューにご協力いただきありがとうございました!

xseeds Hubで取り組んでいること

私たちは、日本企業とベトナム人学生に対して、ただお互いの価値観を押し付けるのではなく、今後、グローバルに活躍するために必要なスキルを身につけることができる、ジョブ型とメンバーシップ型の良いところを組み合わせた新しい就職活動を行なっています!

学生へのアプローチ

前述したように、企業と学生のズレが少なくなるように学生に対して行っていることをご紹介します。
まず、学生が日本就職に対して詳しく話を聞ける先輩交流会があります。そのほかにも卒業後の進路相談や日本就職の現状についてセミナーを行ったり、学生のヒアリングを行ったりしています。
詳細はこちらをご覧ください!【学生を支えるサポート部隊!TCチームのご紹介】

次に、私たちの就職活動の場である「xseeds Hub選考会」の対策について詳しくお伝えしていきます。Sun*として就職活動において大事だと考えている3つのことになります!

1.企業分析

日本企業で働く上では、企業がどのような業界にいるのか。またどんなビジョンやミッションを持って事業に取り組んでいるのか。を理解することが大事だと考えています。
求人があるということは、その企業がやりたいことがある、または課題があるということです。課題を知って仮説を立ててアプローチをすることはビジネスチャンスを生むことにつながるのでグローバルに活躍する人材育成には欠かせないものだと考えています

Sun*で作成したフォーマットの一部

まず、xseeds Hub選考会に出る前に、学生は事前に評価シートを作りますが、その中に企業理解という項目があります。
まずは企業について学生が自分で調べて、それをSun*で作成しているフォーマットに書き込んでいきます。このフォーマットに記載していくと勝手に企業分析ができるようになっています!学生はこれを作成することで事業理解、抱えている課題、これから目指すべきものに対してなぜこの求人票が必要なのかというのを一人一人が分析できるように工夫されています。

2.面接対策

これは、学生が企業の事業を理解しているのか、なぜこの求人に応募しているのか、それに対して学生自身は何をアピールできるのか、そしてそのアピールの仕方が的確なのかを学生に実施しています。
また、求人情報には選考ポイントが明示されています。例えば、そこに「人柄重視」と書かれていても、自分が持っているスキルのことばかりをアピールしようとする学生もいます。こういった学生には、インターンの経験などでプロジェクトメンバーとどのように協力したのかを話すようにフィードバックをしています。
面接応対のスキルを身につけることで、学生は就職したときにクライアントの要望を知り、理解し、自分たちに何が求めらているのかを把握してアピールするという力がつくと考えています。

3.履歴書

こちらはSCPを使用しています。学生はTCが行うセミナーに参加し、ベトナム語の書き方チェックポイントの資料を読みながら、SCPに記載します。内容は企業に合わせて書き換えを実施したり、アピールポイントを更新したりと常に履歴書が最新になるように心がけています。

企業へのアプローチ

また私達は、xseeds Hubに参加する企業にも、以下のような内容を理解をしてもらうように伝えています。

xseeds Hubに参加していただく企業に対して使用する資料の一部

学生だけではなく、企業側にも寄り添う気持ちが大事であると考えます。
ハイコンテクストの日本語とローコンテクストのベトナム語でのコミュニケーションでは、会話がスムーズに進まないことも当然発生します。また、外国人が日本語を上手に使っていると、「日本語を理解している」と思ってしまうこともあります。
「日本語を使っていただいている」という気持ちを持つことが、外国人の方と仕事を上手に進められる秘訣だと考えています。

終わりに

いかがでしたか?今回は日本とベトナムの就職観の違いに触れてみました!日本とベトナムの違いを知ると、双方が歩み寄り話し合うことができます。さらに価値観の違いを受け入れることは企業のブラッシュアップにもつながるのではないでしょうか。これからも私たちはベトナム人が日本で働きやすいような取り組みにも力を入れてサポートしてまいります!

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それでは次回の更新をお楽しみに。Hẹn gặp lại nhé!(また今度)