Xin chào các bạn(こんにちはみなさん)!Sun*教育事業部の大原です。
今回もご覧いただき、ありがとうございます!
私たちSun*は、ベトナムの大学を中心に教育事業を展開しています。
以前ベトナムの大学制度についてお届けしましたが、ご覧いただけましたでしょうか。
今回はもう少し視点を広げ、「ベトナムの教育制度(主に義務教育)」をお伝えします。
勤勉な学生が多いベトナム、彼らを育てている教育制度とはどのようなものなのでしょうか。
- ベトナムの義務教育は何年?
- 日本との違いは?
- 理数系に力を入れているのは本当?
そんな疑問にお答えします!
ベトナムについて
まず、教育についてお伝えする前に、ベトナムの概要を簡単にご説明します。
ベトナムの人口は2020年時点で約9,700万人で、世界第15位、東南アジアではインドネシア、フィリピンに次いで第3位です。
平均年齢は31歳と若く、最も多いのは25~29歳です。
0~14歳の人口は2,260万人で、日本は1,500万人なので約1.5倍となります。
これからのベトナムを担う子どもたちが多く、年々教育法が改定されていることから教育に力を入れていることがわかります。
【参照元】
worldometer: Vietnam Population
総務省統計局: 人口推計
ベトナムの義務教育
1998年に初めて施行された教育法では、義務教育は小学校の5年間のみでした。
その後2005年法では小学校5年間、中学校(正式名称:基礎中学校)4年間の合計9年に変更され、さらに2019年法では就学前の1年間(5歳児)の幼稚園も義務教育とし、現在は計10年間を義務教育期間としています。
その後の進路は、就職や高校(正式名称:普通中学校)3年間、職業学校などの選択肢があり、さらにその先は大学や短大などに分かれます。
学校は9月~翌年5月までを一学年としています。
入学年に6歳の誕生日を迎える子供までが小学校に入学するため、日本とは学年の区切りが異なります。
例)2022年9月に小学校1年生になるのは、2022年12月31日時点で満6歳の子供
小学校、中学校、高校は前期と後期に分かれ、年35週間授業を行っています。
コロナ禍においては特別措置としてこれに準じていない場合もあります。
一コマは小学校で35分、中学と高校で45分間としています。
教科は日本とほぼ変わりませんが、教科別の授業時間数が異なります。
というのも、主要5教科、特に国語(低学年はきれいに字を書くための練習も含む)や算数に力を入れる傾向があり、授業時間数も多くなっています。
以下は、ベトナムと日本の小学4年生の年間授業コマ数、時間数を比較したものです。
教科 | ベトナム(/コマ) | 日本(/コマ) |
---|---|---|
国語 | 280 | 245 |
社会 | 70 | 90 |
算数 | 175 | 175 |
理科 | 70 | 105 |
音楽 | 35 | 60 |
図工 | 35 | 60 |
技術家庭 | 35 | 60 |
体育 | 70 | 105 |
道徳 | 35 | 35 |
団体活動/総合学習 | 70 | 70 |
特別活動 | 無し | 35 |
合計コマ数 | 875 | 980 |
合計授業時間数 | 約510時間 (現行通り一コマ35分で計算) | 約735時間 (現行通り一コマ45分で計算) |
日本と比較すると、現状は合計授業時間数が少ないのが事実です。
中進国のベトナムでは教育に関する制度がまだまだ整っていませんが、その中でも言語力や論理的思考力に力を入れて整備しているため、その基礎となる国語や算数のコマ数が日本と同等またはそれ以上に設定されています。
世界的な教育の傾向としても、「STEAM教育(それぞれの頭文字であるScience<科学>、Technology<技術>、Engineering<工学>、Art<芸術>、Mathematics<数学>)が注目されています。
STEAM教育の起源はアメリカで、国際競争力を高める科学技術の人材育成を目的として進められました。
ベトナムでも数学では国際的な学術到達度調査PISA(Programme for International Student Assessment)において、東南アジアでシンガポールに次ぐ高得点を出しています。
【参照元】
JETRO: ベトナム教育(EdTech)産業調査、8ページ目「1.1.3 教育に関する統計」
教育カリキュラムは教育訓練省が決定し、地方の状況に応じて教育訓練局が具体的に決めています。
カリキュラムの特徴としては、先ほどお伝えした特徴の他には小学校3年生から英語を取り入れていることです。
また、ベトナム政府は2016年に、第1外国語として英語以外に日本語を取り入れることを決め、2021年11月現在、ハノイでは3ヶ所、ホーチミンでは1ヶ所の公立小学校で日本語が学ばれています。
それだけ日本や日本語が注目されているということですね。
ベトナムでの日本語教育事情については別の機会に詳しくお伝えします!
日本の教育制度との大きな違いの一つは、小学校1年生の段階から、成績が一定基準に達しない児童は留年してしまうということです。
そのため小さな頃から塾に行く子どもも多く、より高みを目指すという目的以外に一定基準以上の成績を取るという理由も挙げられるのではないかと思います。
ベトナムでは教育熱心な親も多いのですが、その背景として経済成長の真っただ中で共働きの割合がとても高く、子どもと一緒にすごく時間が持てない分習い事などで子どもの教育の質にこだわりを持つようになってきたことが挙げられます。
確かに私の周りの子どもを持つ両親のほとんどがフルタイムで働いています。
そして子どもたちは週2~3日習い事をしています。
こちらの統計では英語や算数を習っている子どもが多く、両親も言語力や論理的思考力(順序立てて考えたり、試行錯誤したり、物事を解決するための力)に関心が高いことがわかりますね。
ベトナムの算数・数学に対する取り組み
今回はさらに算数に絞ってもう少し教育制度について触れていきます。
先ほどベトナムでは論理的思考力の基礎となる算数に力を入れていることをお伝えしました。
では、具体的にはどんなところに力を入れているのでしょうか?
一番の大きな取り組みは、学習スピードが速いということです。
例えば、2桁の掛け算は日本やアメリカでは小学校3年生時に学習しますが、ベトナムでは2年生の時点で教科書に出てきます。
【参照元】
The Ethnomathematics of Vietnamese Algorithms
日本では高校2年生の時に学習する数ⅡBの立方根を、ベトナムでは義務教育期間中の中学3年生時点で学習します。
私自身バリバリの文系人間のため、立方根が何なのかを忘れておりました。。。
薄れた記憶を呼び戻そうとしても、ただ難しかった思い出しかなく、それを義務教育中に学ぶベトナムはすごいという言葉しか出てきません。
【参照元】
ベトナムの高等学校における数学の現状に関する研究(Ⅱ)
身近な例で説明すると、Sun*所属のある日本語教師のお子さまは現在5歳なのですが、すでに掛け算や割り算を理解しています!
小学校入学前に、すでに塾や家庭教師から算数を学んでいるとのことです。
今から将来が有望ですね!!
こういった取り組みの結果として、ベトナムは直近で行われた第62回国際数学オリンピックで、ベトナム代表で出場した6名の高校生のうち金メダル1名、銀メダル2名、銅メダル3名と、全員がメダル獲得の快挙を成し遂げました!
この時の国際数学オリンピックには、世界107か国・地域の高校生が出場しています。国・地域別のメダル獲得数で、ベトナムは107か国・地域中14位、東南アジアでは1位になりました。
国際数学オリンピックは、毎年行われる高校生を対象とした数学の問題を解く能力を競う国際大会です。
詳しくはこちらをご覧ください。
そこで優秀な結果を残したことは、ベトナムの教育に関する取り組みの結果と言えると思います!
では論理的思考力を鍛えるとどうなるのか?
最も言えることは「問題解決能力が向上する」ということです。
世の中には様々な問題があります。
問題解決とは、現状とゴール(理想)のギャップ(課題)を埋めることです。そのため、問題の解決には、課題を抽出する必要があります。
論理的思考力が高いと、物事を細かく分解して、課題を明確にすることが可能です。
またITにおいては論理的思考力が必要とされています。
例えばシステム使用や設計を検討するときにクライアントのニーズを正確に理解するためには論理的思考力が必要です。
障害が発生した時の対応や、再発防止策の検討などにも論理的思考力が不可欠です。
つまり、算数と論理的思考力、論理的思考力とITは関係していると言えます。
ベトナムの学生を受け入れた企業様からは、とにかく学生のIT能力がすごいと言われます。
その源泉はここにあります。
今後ますます経済成長が見込まれるベトナムでは、さらにIT教育が盛んになり、優秀な学生が増えることが期待されますね!
終わりに
いかがでしたでしょうか。
今回はベトナムの教育事情についてお届けしました。
教育シリーズとして、ベトナムでの日本語教育事情やお受験事情など、他ではなかなか見ない情報を今後お伝えできたらいいなと思います!
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それでは次回の更新をお楽しみに。Hẹn gặp lại nhé!(また今度)